○ 高額薬剤オプジーボの薬価引き下げ
東洋経済オンラインの本連載記事「超高額な『夢の新薬』は、国を滅ぼしかねない」でも詳述したが、皮膚がん治療のため2014年に保険適用が認められたオプジーボは、患者1人当たり年3500万円掛かり、医療財政を圧迫することが懸念されていた。使用する想定患者数が年470人から1万5000人に増えることもあり、薬価引き下げを検討していた。年間販売額が企業の予測を大幅に上回った場合に適用される最大50%値下げできる既存ルールを検討している。ただ、これは、オプジーボだけを狙い撃ちにしたものではない。
○ 75歳以上の高齢者に対する保険料軽減の特例廃止
75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の保険料は、所得に応じて支払う所得割と、加入者全員が定額負担する均等割で構成されている。年収153万円超の高齢者に課される所得割保険料において、現在、年収211万円以下で一律5割軽減の特例が適用されている。この特例の保険料軽減のために税金が投入されている。世代間格差是正のためには、若い人も払う税金で穴埋めするのをやめ、所得のある高齢者に負担して頂かなければならない。ただ、均等割保険料の9割軽減(年収80万円以下)、8.5割軽減(同80万円~168万円)の特例は低所得者に配慮し継続することになりそうだ。
市販品類似薬の負担額の不公平は解消されず?
△ 薬局で買える医薬品が医療機関で処方されたときの自己負担の引き上げ
医師の処方箋なしに薬局で薬を買うと全額自己負担である。他方、医師に処方してもらった薬は、まったく同じ薬でも、3割自己負担で済む。この不公平を改めるべきだという意見は、以前から出されている。しかし、医療機関の医薬品の処方を制約することなどから、反対意見が出されている。
× かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担(受診時定額負担)を導入
初期段階や軽度の病気にかかったときに住まいの身近で診てもらえる「かかりつけ医」の制度を普及させるため、様々な取り組みをしているが、患者側がいきなり初診で大病院の外来を受診しようとすることが多く、この制度の定着に課題がある。「かかりつけ医」制度定着のために、様々な取り組みと合わせて、患者側のコスト意識に働きかけるべく、一定の要件を満たす「かかりつけ医」以外の外来を受診した場合に、定額負担(診療所は低額とし、病院は規模に応じてより高額に設定)を導入する案が出されている。しかし、医療関係者は、過去の経緯もあり反対している。
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