現地社員に日本の価値観を理解させるには? グローバル人事の「目」(第10回)

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「おもてなし」精神でサービスレベル向上に成功

大手小売業A社は、早い段階で中国との合弁会社を設立して中国に進出したが、進出当初は、出資比率の関係で中国側の企業運営に口が出せず、当時の国有企業と同じようなサービスレベルに甘んじていた。

そのため、後発の外資系コンビニチェーンが市場を制覇し、A社は水をあけられてしまった。そこで、合弁比率を見直し、日本式サービスを展開することにした。

日本的な「おもてなし」の精神を現地中国人社員に伝え、職場で実践してもらうという取組みだ。当初はマニュアル等で行動を徹底するやり方を実施していたが改善はされなかった。原因は、現地法人の社員自身がおもてなしを受けたらうれしいという感覚を持ち合わせていなかったからである。さらに、日本流を単に押し付けてもその精神までは伝わらないということがわかった。

そこで「日本式のおもてなし精神があるサービスと、普段のサービスの両方を体験してもらい、どちらがうれしいかを実際に感じてもらう。そしておもてなし精神を基に、現地流のおもてなしを考え、実践する」ということを現地の全社員に実施させたのである。

最初は現地でよくある行動と日本式のサービス行動を、現地社員に比較してもらった。たとえば「お茶を無愛想にドンとおく」「日本式に丁寧にお茶をおく」の両方を体験してもらう。すると、比較することで、どんな対応を受けるとうれしいか気づき始めたそうだ。

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