現地社員に日本の価値観を理解させるには? グローバル人事の「目」(第10回)

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日本人駐在員が海外現地法人の社員の意識や行動を理解するためには、その国の一般的な文化や価値基準を知るだけでは不十分である。日本企業が尊重する価値基準を現地法人の社員が持ち合わせていない場合、どのように植え付けていくかについて、中国での事例を基に解説する。

中国国有企業で働く人々のプロ意識は高くない

人事コンサルティング会社のヘイグループが2011年に行った調査によると、中国人社員はブラジル、ロシア、インド等のBRICs諸国の中で最もプロ意識が低かった。

また、中国国内に目を移し、企業のタイプ(中国国有企業と民間・外資系企業等)別に社員のプロ意識を見てみると、民間企業、外資系・合弁企業、その他の類型企業では、社員のプロ意識は高かったが、国有企業、国有控股企業(国家過半出資企業)のプロ意識は低かった。(「2012江蘇人力資源サービスフォーラム」において江蘇省南京市総工会、南京市社会科学院、南京領航人材開発有限公司が共同発表した調査結果)

中国人社員、特に中国国有企業、国有控股企業のプロ意識が低いことが、日本企業にどのような影響を与えるのだろうか。

 中国でビジネスを行う際、日本企業は中国側と合弁会社を設立するケースが多い。そのため中国側の出資比率が高いと、マネジメント手法が中国国有企業と同じようになってしまう。現地法人によれば、合弁会社に入社する社員は中国国有企業からの転職組の比率が高いそうだ。

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