「世代なんて関係ない」久石譲の仕事哲学とは 久石譲は「蹴落とす」タイプ?

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強いて言うなら、今の若い人は海外留学をする人が少なくなっていますよね。外に出て行く姿勢がないというか。そういった無関心さが少し気になるくらいでしょうか。

僕はどちらかというと蹴落とすタイプ

――今回の映画では、山﨑努さん演じる父親が、無農薬栽培でリンゴを育てたいという義理の息子に対して、「お前の好きなようにやれ」と全面的に信頼するくだりがあります。そうした話について思うことはありますか?

「理想の上司」といったテーマを好む人が多いかもしれませんが、僕は上司も人によると考えています。たとえば自分のレベルを絶対に下げないで、付いて来られない者は蹴落とす人間と、自分からできない人のレベルまで下がって、相手を褒めてあげるような人間がいます。僕はどちらかというと蹴落としてくほうですね。

(C)2013「奇跡のリンゴ」製作委員会

――それは、師匠の背中を見て学べ、というようなことですか?

それとは違う。人との関係性でしかものを見られなくなっている人に対して、もうちょっと賢くなろうよ、と思っています。たとえば音楽を志すなら、音楽でどれだけいいものを作るか、映画の世界に入るのなら、映画でどれだけいいことができるか。隣の人間や、上司の顔色をうかがうのではなく、自分が勉強すればいいんですよ。そこを失って、すべて人との関係性でしかものを測れないのは、人間としてあまりにも貧しいですよね。つまり、音楽をやっているならば、音楽業界でどう生きていくのか、ということを考えるのではなく、自分が考えるいい音楽とは何なのかを追求し、勉強していくべきだと思うのです。

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