『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』など数々のヒット作を生み出し、日本映画の黄金期を支えた映画監督・木下恵介。2012年に生誕100年を迎え、国内外で木下恵介再評価の機運が高まっている、この記念すべき節目に、映画『はじまりのみち』が完成。6月1日より全国公開される。
『はじまりのみち』は、戦中、木下が病気で倒れた母を疎開させるために、兄と便利屋と共に、1台には寝たきりの母を、そしてもう1台には身回りの品を乗せて、2台のリヤカーで山越えをしたという実話を軸に物語を構成。さらに、血気盛んな映画青年として軍部ににらまれ、松竹を一時離れるきっかけとなった『陸軍』の製作時のエピソードを回想形式で盛り込む。
監督は『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『カラフル』などを手掛けてきた、アニメ監督の原恵一。アニメ界の旗手のひとりとして、国内外で高い評価を得ている監督だ。木下恵介監督を敬愛し、ファンと公言する彼は、実写映画未経験にもかかわらず、作品の監督を志願した。そんな原監督に、木下映画の魅力、実写作品に挑戦した思いなどについて聞いた。
「過激さ」「ロック」「パンク」という言葉がふさわしい
――原監督は以前から木下作品から多大な影響を受けていること公言しています。木下作品の魅力とはなんでしょう?
多くの人にとって、木下監督とは映画『二十四の瞳』の監督なのだと思います。でも本当はそれだけでは終わらない、とんでもない過激な監督だということを知ってもらいたい。失敗を恐れずに挑戦する人で、その挑戦がうまくいったときの爆発力はものすごいものがあります。
『二十四の瞳』のような抒情的な映画も撮ったけど、コメディ、サスペンスなど、そうじゃない映画もたくさん撮った人。映画が好きな人なら、見ないともったいない。ただ、作った作品のジャンルがあまりにも幅広いので、「こういう監督だ」と、短い言葉で言い表せない。ずっと木下監督を表すのにいい言葉がないかなと思っていたのですが、「過激さ」「ロック」「パンク」といった言葉がふさわしいのではと、感じています。
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