フジ次期社長、亀山氏が語るベンチャー投資

フジテレビがベンチャー投資で狙うもの

フジテレビジョンを中核とする日本最大級のメディアグループ、フジ・メディア・ホールディングスは今年2月、べンチャーキャピタル事業会社を立ち上げた。その名もフジ・スタートアップ・ベンチャーズ(FSV)。社長を務めるのは、“月9”と呼ばれる看板ドラマ「あすなろ白書」「ロングバケーション」などのほか、「踊る大捜査線」シリーズをはじめ「海猿」シリーズ、「テルマエ・ロマエ」など数々のヒットコンテンツを仕掛けてきた、フジテレビ常務の亀山千広氏だ。
そのFSVが事業会社への第1号となる投資案件を決めた。タブレットやスマートフォン向けの知育アプリの企画開発・販売を行うスマート・エデュケーション(本社・東京都品川区)だ。フジ・メディアは5月1日、FSVからスマート・エデュケーションへ出資するとともに、同社との協業も進めると発表した。
いよいよ本格始動を迎えたベンチャー投資。テレビ局としても初の取り組みに乗り出したフジテレビの狙いは、いったいどこにあるのか。FSVの亀山社長に意気込みを聞いた(インタビューは今年3月に実施したものです)。

「テレビメディアの価値は変わってない」

――事業会社への投資第1号となる案件は、スマホ・タブレット向けの知育アプリ開発会社ですね。人気のキャラクター、ガチャピンとムックを活用した学習教材「おやこでリズムえほん」の提供で協業を開始されました。

ファンドを起ち上げ、最初にどんな会社に投資をするかは、今後の方向性を示唆するうえでたいへん重要だと考えました。ゲーム、マーケティング・リサーチ、ファイナンス、旅行、Eコマース、SNS(ソーシャルネットワーク)や教育分野など、50社以上の実にさまざまな会社と面談したFSVの社員が、「ここぞ」という候補を挙げてくれましたが、投資先を吟味するのは実に楽しい作業でしたね。

ありがたかったのは、テレビ局が初めてベンチャーキャピタル事業を開始するということが話題となったおかげで、たくさんの情報が集まってきたことです。テレビに可能性を感じている人がこれほどいる。若者のテレビ離れなどが問題となってはいますが、テレビメディアの価値は変わっていないという気がしてなりません。

たとえば、「情報番組のこのコーナーに僕たちのこの技術、このサービスを投入すれば、今以上に視聴者にアプローチできる。そこにはこんなビジネスチャンスがある」と、番組名を上げて提案してくれる会社もあり、テレビ局社員としても勉強になりました。テレビ局内にいると見えづらい、完全な視聴者の立場からのサービス提案は、投資という形を取らなかったとしても、うまくくみ上げたいと思いました。

ドラマやバラエティなどフジテレビのコンテンツの中から、たとえば、人気キャラクターのグッズを作って販売したり、ドラマパッケージを配信したり、放送周辺の事業を推進していくのが、フジテレビジョンでの僕の仕事のひとつです。通常のサービスに、テレビで人気のキャラクターを付加する、つまり、“包装紙”でラッピングすることでサービスの受け取り方は違ってくると思います。サービスの浸透度が高まりますよね。FSVでは、協業によって、テレビメディアの価値をビジネスチャンスに結び付けていきたいと考えています。

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