日本顔負け。アメリカの「超学歴社会」

アメリカは学歴による「階級社会」の国

学歴は階級を勝ち取る手段

では、なぜ、アメリカは日本以上の「超学歴社会」なのだろうか?

まずは歴史的に考察してみたい。19世紀、新世界アメリカを旅したフランスの政治家トクヴィルは、著書『アメリカにおけるデモクラシー』の中でこう書いている。

「民主主義国家ほど市民が取るに足らない存在である国はない」

この言葉が意味するとろころは、誰もがひとかどの人物になるためには最大限の努力をする必要があるが、裏を返せば、誰一人として重要でないということだ。

これが、アメリカ社会の本質だ。王も貴族もいない市民だけの国だから、全員が社会の階段を上るゲームに参加する。それがアメリカという国なのである。こういった社会では「機会均等」(ゲームに参加する権利)が確保されれば、際限のない競争が続き、その結果、自分が所属する社会階層が決まることになっている。

つまり、アメリカは競争による階級社会の国で、その階級は初めから存在するものではなく、勝ち取るものなのである。この階級を勝ち取る手段として、能力と努力の結果得られる「学歴」が大きな決め手になる。

ただ、学歴と言っても、それは日本人が言う学歴――つまり、どの大学を出たかということとは大きく違っている。現在のアメリカでは、ただ大学を出ただけでは評価されず、どの大学やどの大学院で何の学位を取ったかが重要になる。この点でも、アメリカのほうが日本よりいっそう熾烈な「学歴社会」と言えるだろう。

このことを知らずに留学すると、世界中から集まった学生との競争に付いていけず、落ちこぼれになって帰国することになる。

はるかに充実した奨学金制度

先日、朝日新聞に「アベノミクスによる円安で、海外留学をする学生たちが悲鳴を上げている」という記事が載った。円安で留学費用が高騰して留学できなくなった学生や、生活費が高騰して困っている留学生が多いというのだ。

確かに、アメリカの名門一流大学はほとんどが私立だから、授業料はべらぼうに高い。しかも、大学は基本的に寮生活だから、その費用も含めると、年間で最低でも4万~5万ドル(400万~500万円)はかかる。これでは、とてもではないが、日本の一般的な家庭の子供はアメリカの名門一流大学には行けないことになる。

ところが、アメリカは日本よりはるかに奨学金制度が充実している。国や州をはじめとして、大学独自のものから企業、機関、個人にいたるまで、それこそ何千種類もの奨学金があり、これをうまく利用すれば、学業成績などの条件をクリアすれば留学は可能だ。

ハーバードなどの名門一流大学は、学業成績さえよければ、申請すればほとんどの学生に奨学金を出す。留学生でも申請できる奨学金が数多くある。私の友人の一人は、ほぼ無一文で大学の寮に住み、学費もタダで卒業している。

私の従姉の息子もブラウン大学で奨学金をもらっていた。それでも生活が苦しければ、大学側がアルバイトの面倒もみてくれ、たとえTA(ティーチング・アシスタント)をやらせてもらえば、ギャラが出るので、勉強しながら生活できるようになっている。

学業が優秀でなくてももらえる奨学金もある。州立大学なら、州民なら誰でももらえる奨学金がある。もちろん、これを留学生は利用できないが、卒業後に月極めで返すローン返済型なら、留学生でも申請できる。安倍政権がつくる奨学金制度がどのようなものになるかはわからないが、まずは目指す大学の奨学金制度を十分に調べるべきだ。

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