OJTの“限界を超える”花街の教え

一流に学ぶOJTの作法(2)

OJTの失敗を、「若者に粘り強さが足りない」とか、「指導者である中高年が若い人の気持ちを理解できない」といった感覚的なもののせいにしていないだろうか。これでは、よりよいOJTの方法について特段の工夫がされないまま、せっかくの人材が埋もれてしまう。
今回は、京都花街研究の第一人者が、「OJTの限界」と、それを乗り越える京都花街の叡知を紹介する。

OJTのデメリット

OJTは、トレーニングを受けた専門家が人を育てるのではなく、現場の人が仕事経験を通じて得た知識を基に、人材育成に携わっていくことです。
つまり、現場の経験や知恵を基に、人を育てていく仕組みです。そのため、現場の事情に応じた柔軟な人材育成が可能になります。

一方で、教える人によって指導方法や指導の内容が異なると、育成途中の若者は混乱してしまいます。混乱するだけでなく、人間関係にひびが入ってしまうことすらありえます。

また、教える側の人材の経験には、当然、偏りがあります。したがって、その人ならではの特性に応じたやり方を、普遍的な方法として教え込んでしまうといったことも生じます。

OJTと対比して語られるマニュアルでの教育は、明確でわかりやすいというメリットがあります。

「マニュアルがあれば、仕事ができます、マニュアルをください」といった若者からの問いかけに、近頃の若者は自分で考えないと、怒る方もおられるかもしれません。

しかし、慣れない仕事をきちんとしたいという若者の不安に、OJTという教育方法が適しているとは、言い難いところがあるのは事実です。マニュアルでは対応できないところがたくさんあるとしても、それに頼りたくなる気持ちが育成される側に生じる理由は、考えるべきでしょう。

そうした育成される側の気持ちに配慮することなく、人材育成の現場でOJTを伝家の宝刀のように振り回してしまっているとしたら、個人にとっても組織にとっても大きな損失です。

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