AKB48のルーツは京都花街にアリ!?(上) 共通の「ビジネスシステム」とは

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「京都花街」と聞くと、多くの読者にとってはあまり縁がない世界のように感じられるかと思います。テレビや映画、あるいはお芝居などで、舞妓さんや芸妓さんの姿やお座敷遊びの様子を見たことがある、その程度がごく一般的な認識でしょう。

しかし京都花街は、一流のおもてなしでグローバルな認知度を誇る、日本を代表する伝統文化産業です。350年間という長きにわたり「一流」であり続けてきた京都花街には、現在のビジネスシーンにも通用するさまざまな制度的叡智が育まれてきました。

この連載では、そんな京都花街の叡智を紹介するとともに、現代の事象も取り上げながら、読者の皆さまに「ほー」「へー」などと、面白く立ち止まっていただける一瞬も提供します。

そして、ビジネスの継続とビジネスパーソン自身の能力を伸ばすことに役立つ、ビジネスに使えるヒントを紹介していこうと思います。

初回は、京都花街とAKB48の類似性についてです。「京都花街とAKB48」、えっと思われたのではありませんか? 実は京都花街で育まれてきた「一流の育て方」と「ビジネスシステム」、そしてそれらの結び付きの工夫は、AKB48にうまく取り入れられているのです。

この点をご説明するために、まず京都花街のビジネスの仕組みについて見ていきましょう。

京都花街のビジネスの仕組み

 京都花街といえば、すぐに「舞妓さん」を思い浮かべられるでしょう。彼女たちは、おおむね10代。中学卒業後、全国から京都にある5つの花街にやってきて、置屋さんに住み込みます(京都では置屋さんのことを、屋形【やかた】と呼びます。主に舞妓さんの育成を行う、プロダクション兼人材派遣会社のような機能を持っています)。

舞妓さん希望者たちは、京ことばや立ち居振る舞いなどの舞妓さんらしさを、日常生活を通じて身に付けます。さらに日本舞踊や茶道などの伝統的かつ芸術的な専門技能の教育も受け、約1年後に舞妓さんとしてデビューします。舞妓さんになると「お座敷」と呼ばれるおもてなしの現場に行けるようになり、京都花街にある歌舞練場の舞台に立てるようにもなります。

「お座敷」で一緒にお客様をもてなす芸妓さんと舞妓さんは、実は固定メンバー制ではありません。お茶屋さん(おもてなしのコーディネーターとでも言えばわかりやすいでしょう)が、顧客の要望(たとえば、少人数の接待・大規模なパーティ・京都観光関連イベントなど)に沿うように、花街にある複数の置屋さんから芸妓さんと舞妓さんを手配します。つまり、芸妓さんと舞妓さんは、お座敷ごとに編成される、プロジェクトチームでおもてなしをするのです。

お座敷がどのように成り立つのかをまとめたのが、右の図です。

さて、AKB48の公演やTV出演をご覧になったり、CDを購入されたりした経験のある方は、この京都花街のビジネスの仕組み、どこかAKB48の仕組みと似ている、そんな気がしませんか?

次ページAKB48の「ビジネスシステム」とは
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