受験で全敗した私が、英語の達人になるまで 日本の英語教育を変えるキーパーソン  石渡誠(上)

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 昨年11月から始まったこの連載では、日本の英語教育の現状と将来に関して、私なりの見解をさまざまな側面から述べてきました。今回からは、同じ英語教育界に身を置き、著しい成果を上げておられる先生方の指導理論を具体的に紹介していきたいと思います。
 私の考え方はすでに何度も述べていますので、今回からは、なるべく私は口を挟まずに、インタビューにご登場いただく方の英語教育論を、詳細に掲載することに重点を置いていきます。
 第1回目のインタビューのゲストは、「発信力を鍛える」がモットーの英語学校FORWARDの代表を務められる石渡誠先生です。スピーキング(発話)力の強化を全面に押し出した学校を運営されており、英語が話せる教え子たちを多数輩出されています。
 石渡先生は、私が毎年1月に開催する、英語教育に携わる指導者の方々を招いた交流会にも出席してくださっています。出席者には英語で短いスピーチをお願いしているのですが、石渡先生のスピーチはいつも感動的です。簡潔で明快ながらウィットにも富んでいて、私ももっと頑張ろうという気持ちに毎回させていただいています。
 これまでは、じっくりお話を伺うチャンスがなかなかありませんでしたが、今回インタビューをお願いしたところ快諾してくださいました。どんな話が聞けるのか私もワクワクしつつ、青山にある学校FOWARDを訪ねました。石渡先生のインタビューを3回にわたってお届けします。
トップレベルの英語発進力養成に特化して、英語を教える石渡誠さん(写真右)

高校に入って英語がわからなくなった

安河内:本日はどうぞよろしくお願いします。

このインタビュー・シリーズでは、帰国子女だったり、幼少の頃に海外在住経験があったりする方ではなく、日本での学習をベースにして話せる英語をマスターした指導者を追いかけてインタビューをしています。大多数の日本人と同じように、英語で苦労したご経験があって、そこから英語を教える、あるいは使うお仕事をされている方を厳選してご登場いただきたいと考えているのです。ご本人が苦労を積み重ねて英語を話せるようになったという土台をお持ちの先生たちに、「では具体的にどういうことをやれば、できるようになるのか」というお話をしていただきたいからです。

まずは、石渡先生ご自身が英語を習得された過程を教えてください。中学や高校での英語の成績はどうだったんですか?

石渡:中学のときはまあごく普通の成績でしたけれども、高校に入ってからは野球にのめり込んだんです。補欠レベルでしたが、その頃の生活は野球一筋と決めていました。1年生最初の学期の成績表は10段階評価で1が並び、部長からこれ以上1をとると退部になると伝えられました。ですから、1はとらない勉強法を模索していました(笑)。

英語の場合は簡単でした。試験前によく勉強している子のノートを見せてもらうのです。ノートに書いてある日本語の訳を読んでおくと、100点満点中30〜40点ぐらいは取れて、1を免れる成績にはなったんですね。ということで、英語は高校に入ってからまったくわからなくなりました。

高校の野球部は夏の大会で終わるので、夏以降はそれなりに勉強したつもりでした。でも、半年やっても相変わらずわからない。予備校に行っても、授業についていけませんでしたね。

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