大学受験はすべて落ち、浪人をすることになりました。自分の中では高校の3年間を浪人の1年で取り戻せばいいという気持ちがある反面、英語は特に受験問題にまったく歯が立たず、この先どうしたらいいか途方に暮れました。
松本亨博士との出会い
どう立て直そうかと悩んでいたときに、本屋さんである1冊に出会ったんです。松本亨(まつもと・とおる)博士の「英語で考えるには」という本です。松本博士は、NHKのラジオ英会話の番組講師を20年間以上務めるような著名な先生だったのですが、私は何も存じあげませんでした。ただ、書店に「英語で考えるには」という真っ赤な装丁の本がバーンと並んでいて、脳から英語が飛び出すようなイラストが目に留まったんです。
この本を買ったことが、結果的に私の人生を変えることになりました。とはいっても、これは英語で考えるための演習本だったんですね。英語力のほとんどなかった私には設問ですら理解できずスルーしたので、ほとんど2〜3分で読み終わってしましました。はしがきとあとがきだけ読んだようなもので(笑)。
だだ、その本を手にしたことで、松本先生の存在を知り、「英語で考える」という考え方があり、しっかり勉強すれば日本人でも英語ができるようになることを知ったんです。「そんな指導方針があるのはすばらしいな」と感激しました。
巻末の肩書きには、松本亨高等英語専門学校学長とありました。私は「高等英語専門学校」のことを高校と勘違いしたので、最初、松本先生は高校の先生だと思ったんです。ですから、「ああ、オレは高校卒業してしまったから、この人の授業は受けられないのか」と一度はあきらめました。
しかたなく、ほかの方策を考えようと、また本屋に行って、今度は大学受験用の雑誌を買いました。すると、そこに「松本亨高等英語専門学校 春期大学受験講習」という広告があり、初めて専門学校だということがわかったんです。
「大学受験講習もやっているんだから、行かない手はない」と考えてすぐに受講の手続きをしました。これは3週間の講習だったのですが、今考えると、短期のものを最初に受けられたのはラッキーでした。
なぜなら、自分の英語に対しての心構えを正すのに時間が必要だったからです。現在、私のスクールではワンデープログラムという1日集中コースがあるのですが、とても1日だけでは、私のひねくれた心は直せなかったと思います。
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