メンタルバリアを砕け
英語のスピーキングは、苦手意識を持ち続ける人が多い分野です。私は、このことには、技術的要因に加えて、心理的な要因が大きいのではと思っています。
日本人はまじめなので、何を追求するにしても高いレベルを求める傾向があります。不必要に難しい文法理論まで追求してしまう傾向もその表れだと思います。
スピーキングに関して、最初から高いレベルを追求してしまうと、実際に言葉を口にする機会は半永久的にやってくることはありません。この分野は、実践し、間違いながら直していく以外に上達する方法がないからです。
スピーキングが苦手な人のひとつの特徴は、ミスを過度に恐れるということです。特にLR(リスニング・リーディング)のテストの高得点者で、スピーキングができない人にこのタイプが多いようです。また、英文法や英文解釈を教えている教員にスピーキングが苦手な人が多いのも、同じ理由だと思います。
このメンタルバリア(心理的障壁)を打ち砕くには、まず「ネイティブみたいに話さなければ恥ずかしい」という、ネイティブ幻想を捨てることが大切です。英語を10年や20年勉強したくらいでネイティブのように話せるはずはありません。また、別にネイティブのように話せなくとも、十分に仕事はこなせます。話し始めの目標を高く設定しすぎないようにしましょう。
このネイティブ幻想を捨て、まずは知っている言葉を使って、シンプルな英語で、間違いながらも発話し、笑われたり、失敗したりしながら修正を加えていけば、実はどんどん英語が話せるようになるのです。その際に他人の目を意識することもやめましょう。
そのためには、人が話している英語の文法や発音に関して、「うまい」とか「間違っている」とかコメントすることは絶対にやめましょう。コメントするのは、その人が話している「内容」に対してだけにしてください。人の英語にコメントすることによって、自分が話しているときに、人にチェックされているという意識を強化してしまい、さらに口が堅くなってしまうからです。
もちろん文法や発音の学習は大切ですが、過度に意識すると発話の妨げになります。私自身のスピーキング講座の初回には「文法・発音くそくらえ!」と大きく板書し、私自身が文法も発音もデタラメな英語でしゃべってみせることによって、受講者の心理的障壁を取り除くようにしています。
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