4月1日に発表された3月の日銀短観について、一部のマスコミが「大企業の景況感が3四半期ぶりに改善した」と報道しました。アベノミクスへの期待と円安の進行から、国内景気に明るい兆しが見えてきたということです。確かに、大企業の業況判断だけを見ればその通りなのですが、短観の内容をもう少し詳しく見てみますと、一概に「景気がよくなってきている」とは言えないのです。
景況感は、業種ごとに大きな差がある
日銀短観とは、日銀が四半期に1度、さまざまな業種の企業(約1万社)に対して景況感を問う調査のことです。3カ月前より業績はよくなったか。3カ月後の先行きはどう見ているか。雇用人員は過剰か不足か。在庫や商品価格の状況はどうかなど、いろいろな切り口の質問を投げかけるのです。
この調査結果は、「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数字で表されます。こうした方法で算出される指標をDI(Diffusion Index)と呼びます。
新聞やニュースなどで取り上げられるのは、ほとんどが大企業の製造業と非製造業の業況判断DIだけですが、実際の短観の資料は非常に長いものなのです。今回は、この短観のデータを詳しく見ていきたいと思います。(最新の日銀短観を参照)
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