「産めるときに産みたい」はワガママなのか? 浦安市と連携し卵子凍結を行う菊地医師に聞く

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菊地盤医師の資料より

――個人差があるものの、卵子凍結保存には約50万円から100万円ほどかかると聞きます。実際に凍結するとして、どれくらいの割合で補助を受けられるのでしょうか?

卵子凍結保存にかかる費用は、およそ50万円になりますが、採卵費用と最初3年間の凍結保存費用である43万円は助成されます。

採卵をする前に、外来で実施する排卵誘発剤だけ、個人負担です。これは個人差が大きく金額をそろえられないことが理由ですね。平均すると10万円弱でしょうか。その後の採卵や凍結費用、その後3年間の凍結保存費用はすべて助成されます。その間に使用せず、凍結を延長したい場合、4年目以降は、1年間で5万円の費用がかかります。3年のうちに使ってもらえれば、排卵誘発の時の費用だけで実施できるということになります。

――通常、毎年支払う保存費用が最初3年間は無料になるのですね。採卵は、排卵誘発剤を使うことで一度に複数の卵子を採卵できると思うのですが、具体的にはどれくらいの数を目指しているのでしょうか?

一度の採卵で、5~6個取ることを目指しています。ランセットの論文だと、25歳であれば、5~6個の卵子で3割という計算になるのです。

卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるため、強力な誘発剤は使わないようにしています。 誘発剤を強くかけて、一度に10個以上を取るということは目指していません。賛否あるとは思いますが、あくまでも良好卵子を保険として保存するというコンセプトで行っているため、私たちが採卵・凍結を目指すのは、5、6個です。まずは一回やってみて、もっと希望されるようであれば、自費で採卵を追加することを考えても良いとは思います。

浦安市では、1回目は無料ですが、2回目以降もっと採卵したいのであれば、自分で費用を負担してくださいとお伝えしています。あくまでも、公費で助成しているものですから。その先は自己負担です。

「20個くらい凍結しないといけないのでは?」と学会でも質問を受けたことがあります。もちろん沢山あった方が良いですが、結局は確率の問題で、20個あったから100%の確率で将来妊娠できるというものではありません。すべて確率論であって、何個あれば絶対というわけでもない。

若くて良い卵であっても、使う年齢が高くなればなるほど、妊娠の割合は変わってきます。

実際には「ガン以外の病気」がある人が多かった

――年齢的には、どうなのでしょうか。この未受精卵子の凍結を希望されるのは、30代の方が多いのでしょうか?

この1年で来た方の年齢を平均すると、31歳でした。年齢層は25歳から34歳までと幅広いですね。この年齢だと、自分のキャリアのために積極的に残そうというよりも、周囲から言われたり、自分の病気で不安になったり、という理由がないと、来ないのかもしれません。

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