浦安市の卵子凍結は、なぜ「34歳まで」なのか 順天堂大学附属浦安病院の責任者に聞く

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未受精卵子の凍結保存を実施している、順天堂大学医学部附属浦安病院
世界で最も不妊治療の実施件数が多いと言われる日本。最新の統計では、24人に1人の子どもが体外治療で生まれており、その過程で受精卵を凍結させることは以前からありました。ただ、最近になって増えてきたのが、未婚女性が未受精卵子の凍結を希望するケースです。
去年7月、浦安市では「社会的不妊」、つまり、晩婚晩産化が進む中で不妊になってしまうのを防ぐため、20~34歳の女性が未受精卵子を凍結する際に、公費で助成するという画期的な取り組みをスタートしています。
卵子の老化は怖いと聞くものの、20代の女性が採卵して凍結すると決意するためには、かなりの知識と勇気が必要なのも事実。凍結した卵子はどのくらいの確率で使用できるのか、危険なことはないのか……。浦安市と提携して、実際にこの未受精卵子の凍結保存を実施している、順天堂大学医学部附属浦安病院の責任者で産婦人科の先任准教授、リプロダクティブヘルスセンター長である菊地盤医師に詳しい現状を聞きました。

新しい技術により「未受精卵子」の凍結が可能に

――浦安市と一緒に始めた少子化対策のひとつが「未受精卵子を凍結する際に助成する」という内容であったことから、世界的にも大きな話題となりました。

発表後、英国のBBCやガーディアン紙、ロシアやドイツなど欧州を中心にさまざまなメディアの取材を受けていますが、この未受精卵子の凍結保存について語るときに、いつも必ず話していることがあります。それは、卵子凍結保存が広がった理由で、すべての取り組みは出産を希望するがんの患者さんを救うために始まったということです。

卵巣の中の卵子も抗がん剤治療の影響を受けるため、がんが完治した後は妊娠できなくなってしまう。この現実が患者さんを苦しめてきました。これをなんとかするために、未受精卵子や卵巣を凍結保存するという技術が広がったのです。2011年8月には、化学療法前に卵子を凍結保存し、骨髄移植後に凍結卵子を使って妊娠・出産した国内初の事例も出来ました。

そもそも、未受精卵子だけを凍結・保存するという事例は、1999年からありました。ただ、日本国内ではあまり広がらず、海外に輸出されて、世界的にさまざまな事例が出てきた後に、日本でも実施されるようになってきたというのが実情です。

特にイタリアでは、バチカンのローマ法王の影響もあって、「受精卵はすでに人である」という考えが浸透しています。人を凍結することはできないということから、不妊治療で体外受精を実施する際においても、受精前の未受精卵子で凍結することがほとんど。それもあって、イタリアを中心に広まりました。

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