浦安市の卵子凍結は、なぜ「34歳まで」なのか 順天堂大学附属浦安病院の責任者に聞く

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――ただ、年齢に伴って卵子が老化するという事実は受け止めていても、40歳だとまだ可能性はゼロではないし、諦めたくないという人も少なくありません。

失敗してもいいから、おカネをつぎ込むからやってください、という患者さんを否定することはできません。若いうちに未受精卵子を凍結保存しておくという話について、どういう切り口で話しても、ネガティブな意見が出てくるというのは、そういう背景もあるでしょう。いま頑張っている人たちを複雑な気持ちにさせてしまう場合もあります。

――それでも、次の世代の女性のことを考えたら、このような技術が出てきていること、伝える意味はあると思います。

今回の未受精卵子を凍結保存したいと手を挙げた人の中には、いま不妊治療を頑張っている40代の方に勧められて来たという人が複数いました。私たちのように体外授精をすることになった時に、若い時の卵子を使用できるのだから、と。これは浦安市の「少子化対策」のひとつですが、今からいくら頑張っても、日本の少子化を止めることは難しい。子どもを増やすためには、第二次ベビーブームで生まれている団塊世代のジュニアが出産できるような環境を整えないといけなかったのです。彼女たちはもう30代後半から40代ですから、これから人口減少は加速していきます。

それならば、せめて次世代の女性達が自分の性について自覚して、自分の子宮や卵巣について学ぶきっかけになればと思っています。日本の女性は、自分の性について否定的な人が多いのです。かなり極端なやり方ではあるのですが、年齢制限をすることで、この年齢までに出産したほうがよいというイメージが定着すればと思っています。

浦安市が公費で助成する対象は34歳以下に限定

――そもそも、浦安市と一緒に卵子凍結プロジェクトを進めることになったきっかけは何ですか?

浦安市のほうから、普通に不妊治療をやるのではなく、大学病院として何か大きな研究をやれないかと言われ、がんの患者さんを対象に卵子や卵巣を凍結してきたことについて話をしました。ただ、浦安市在住で若くしてがんになる女性と限定した場合は、1年に1人いるかどうかで対象者が限定される。それならば、がんの患者さん以外にも広げようというのが最初のスタートでした。

米国では、フェイスブックやアップルが会社として独身女性の卵子凍結費を補助していますが、あれは訴訟対策とも取れますし、米国の考え方です。僕たちは、将来に向けて未受精卵子を凍結保存しておきたいと強く思っている人たちを広く対象にしたかった。自分ががんになった時に慌てふためかなくて済むというメリットもあるし、1人目は普通に妊娠・出産できたけれど、2人目が遅くなってしまって、なかなか妊娠できない時に、あの時の卵子を使おうということもできる。いろいろなメリットがあります。

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