不妊治療中の女性9割が悩む「仕事との両立」

「仕事か治療か」苦渋の選択を迫られる場合も

不妊治療は女性への負担が大きい。そして妊娠がかなわないときには、いつ治療をやめるのかの決断も迫られる(写真:にこまる/PIXTA)

女性の社会進出とともに進む晩婚化と高齢出産。不妊治療を受ける人も増えている。国立社会保障・人口問題研究所によると、不妊治療や検査をする夫婦は実に6組に1組。その中心である30~40代は、組織で責任ある仕事を任されるようになる時期でもある。それだけに、先の見えない治療との両立に伴う精神的・肉体的負担は計り知れない。仕事を取るのか、治療を取るのか――。苦悩の結果、二者択一の大きな決断を迫られる女性も多い。

頑張っても結果は出なかった

「38歳。ギリギリセーフだと思いながら結婚しました」と、小野恭子さん(50)は言う。英語教育関連の会社で責任者として朝から夜中まで全国を飛び回る生活を続けていたが、会社の倒産をきっかけに結婚。「子育てをしながら、子どもたちに英語を教えよう」。そんな青写真を描いて英語教室を開設したものの、なかなか子宝に恵まれない。ここで初めて自分の年齢を思い知った。「町で見掛ける妊婦さんがとてもまぶしく見えました」と小野さんは当時を振り返る。

39歳後半で産婦人科を受診。不妊治療が始まった。2つの病院で人工授精を2回、体外受精を3回。「何が大変って、自分の体のサイクルに合わせて動かなければならないので、先の予定が何も立てられないことでした」。なんとか予定をやりくりして通院を続けるが、2つ目の病院は全国から患者が集まる不妊専門病院で、病院までの往復や待ち時間を含めると、受診は一日がかり。体外受精をする前には、毎日排卵誘発剤を自己注射しなければならず、それも痛くてつらかった。

「仕事は自分が頑張ればある程度の結果が出る。でも妊娠はそうではないというもどかしさがあった。心身ともに大きなストレスを抱えていたと思います」という小野さん。友人たちは早くに出産をしており、自分の不安や焦りを周囲に話せる人もいない。そうした孤立感が小野さんをさらに苦しめた。

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