社会人になったらひとり暮らしをして気ままな独身生活を謳歌するものだと思っていた。しかし、結婚を機に移り住んだ愛知県では常識が違うらしい。十分に稼いでいる独身者でも、男女を問わず実家から出ようとしないのだ。
愛知県には広い一戸建て住宅が多く、製造業を中心とした雇用が各地域で充実している。経済観念が発達した県民性(1円でも得をしたい!)と重なって、実家を出て、狭いマンションのために賃貸料を払うのを好まない。東京と比べると半分ぐらいの金額なのに……。知人の未婚女性が名古屋でひとり暮らしを始めようとしたら、母親から「おカネがもったいない。結婚資金として貯めておきなさい」と言われたそうだ。
だからといって、愛知県で未婚率が高まっているという話も聞かない。2世代3世代で助け合って暮らすのが当たり前で、独身ひとり暮らしは例外的だという土地柄は、家族を形成するモチベーションを高めているのかもしれない。
20代を捧げた同い年の彼との破局
愛知県三河地方で高校教員をしている山口明子さん(仮名、43歳)も、38歳のときに5歳上の男性と結婚するまでは県内の実家に住んでいた。結婚相手も実家暮らしだ。ただし、明子さんには20代のうちに結婚しようと思い合っていた同い年の恋人がいた。
「6年間付き合ったのですが、29歳のときに別れてしまいました。大失恋でしたね。2~3年は引きずりました。自覚はしていませんが、あの頃は生徒たちから心配されるほど暗かったみたいです。職場の独身仲間とは、『いちばん好きな人とは結婚できんよね』と慰め合っていました」
つらい思い出かもしれないが、結婚適齢期と言われる時期の恋愛なので、出会いから別れまでの経緯を確認しておきたい。
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