"晩婚さん"の前に高くそびえる「2つの山」 40歳超えるとズシリとくるあの問題

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「最近は私もあきらめムードです。もっと早くに結婚をすればよかったな、と思います。それだけは後悔しています」

長男長女にのしかかる、老親のお世話問題

寂しげな表情で笑う明子さん。今後、現実化するのは子育てではなく老親の世話だと覚悟している。明子さんと真一さんは共に長女長男。明子さんの妹は海外在住で、真一さんの弟は東京でひとり暮らし。80歳近くなってきた4人の親と実家のことは2人でやり遂げなければならない。

それぞれの実家は明子さんたちのマンションから車で30分ほどのところにあり、真一さんはいずれ実家に戻ると公言している。しかし、通勤や買い物の利便性を考えると、比較的大きな駅の近くである自分たちのマンション周辺に親たちも住んでくれたほうがいいと明子さんは考えている。

「親同士の仲がいいことはすごくありがたいです。おしゃべりで社交的な母親と物静かな父親という組み合わせも似ています」

とはいえ、親たちは住み慣れた地域と家を離れたがらないだろう。売りに出すとしても過疎化が進んだ地域の古い一軒家が簡単に売れるとは限らない。

「今後、どうなるのかな。ちょっと不安ですね。高校時代の友だちと『地元を盛り上げる会』と称して飲むのが気晴らしです。スタバを誘致すれば若い人が増えるかな?」

ミーハーを自称する明子さんは、後悔や不安におぼれてしまうことはない。現実生活の中に面白さを見いだし、明るく暮らしていける人なのだと思う。

われら晩婚さんには、新婚生活に浮かれている暇はない。不妊治療や両親の介護、実家や墓の始末といった重い問題にすぐに直面するからだ。しかし、家族の仲が良好でありさえすれば、解決できないほどの問題ではない。一つひとつ乗り越えていけば、夫婦の信頼関係も深まっていくかもしれない。10年後も明子さんは熱血先生をしながら真一さんとの生活を楽しんでいる気がする。
 

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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