本連載を始めた途端、「私は35歳で結婚したけれど『晩婚』だなんて言われたくない!」という抗議の声が寄せられた。
その気持ちはわかる。僕も35歳で結婚して今年で38歳になるが、気分というか精神年齢は20代後半の新婚さんだ。「中年夫婦だね」と面と向かって言われたら、目をむいて怒ってしまうかもしれない。
リアルに20代後半のときは、遅く来た青春(小さなモテ期)にしびれるような感動を覚えていた。特定の女性と生活を共にするなんて考えられなかった。30代後半で気の合う他者と一緒に暮らすことの楽しさと安心が、ようやくわかってきた。今こそが僕たちの「適齢期」なのだ。
しかし、気分は若者でも肉体は中年である。いちばんの問題は子どもだ。35歳を過ぎる頃になると、男女共に生殖機能が急激に衰えて受精や妊娠がしにくくなる、とよく言われる。子どもを作ることを考えるならば、35歳以上での結婚はやはり「晩婚」なのだ。
大学時代の同級生と結婚した僕にも、子どもはいない。いたら面白そうだけど絶対に欲しいわけでもないので、「自然に任せて40歳を超えてもできなかったら子なし夫婦の人生を考えようぜ」と今のところは妻と話している。
38歳で、ついに念願の「妊活」スタート
「私は病院に行きました。今年から生理後の日数や体温を測ったりしていましたが、彼も私も仕事があるから、『当日』に必ず家にいられるわけではありません。年齢的にのんびり待っている余裕はないので、2カ月間かけて私の体を調べました。けっこうつらい検査もあったんですけれど、結果は問題なし。彼にも病院に行ってほしいのですが、グダグダ言っている状況です。いずれ無理にでも引っ張っていかなければと思っています」
ランチの後のコーヒーを飲みながら、赤裸々に話してくれるのは広告制作会社に勤務している松村麻美さん(仮名、38歳)。ダンスで鍛えているという細身に、ショートカットがよく似合う。笑顔を絶やさない上品な女性だ。
夫の周平さん(仮名、39歳)は会社の元同期であり、15年来の付き合いだ。ただし、結婚は35歳の冬だった。「できれば30歳ぐらいで結婚して子どもを産みたかった」と振り返る麻美さん。なぜもっと早く結婚しなかったのか。出会いの日までさかのぼって聞くことにしよう。
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