消えない産後の恨み。専業主婦の10年戦争

妻が発するSOSに、夫はいつ気づくのか?

ニッポンの夫婦が“変異”している? 「夫は外で働き、妻は家庭を守る」など今や昔。この連載では「産後クライシス離婚」から「イクメン幻想」まで、刻々と変化する現代の夫婦たちを、女性・夫婦問題に詳しいジャーナリストの治部れんげさんが追います。共働き、主婦家庭、主夫家庭……それぞれの夫婦は今どうなっているのか?
「産後クライシス」を10年引きずる夫婦は、修復できるのか?(写真は、夫婦仲が円満だった頃によく出かけた東京ディズニーランド)

 これまで本連載では、夫婦関係が良好な事例や、たとえ問題があっても解決に至った事例を紹介してきた。おかげさまで多くの方に読んでいただき、反響も大きい。

一方で「10年近く努力してきたけれど、夫は変わらなかった」という声もいただく。そこで今回は「問題継続中」の事例を妻の視点から紹介する。

妊娠中から始まった、夫の言動への違和感

「産後クライシスは、10年以上引きずりますよ」。さらっと言ってのけたのは、麗子さん(仮名・30代後半)。都心のスターバックス。テーブルの上にはクリームが乗ったフラペチーノ。長い髪と淡いグリーンのワンピース。絵に描いたような「青山で働いている女の人」という雰囲気は、髪を振り乱して育児に没頭する「産後クライシス」という用語の持つイメージとは懸け離れている。同い年の夫との間に小学生の子どもが2人。

麗子さんは言う。「産後クライシスに関する記事を読んでいて、『やだ、これ、全部当てはまる!』と思いました」。夫婦に何があったのか。

問題の萌芽は産後というより妊娠初期から。「つわりが始まった頃までさかのぼります」。妊娠中、女性は多かれ少なかれ体調不良を経験するが、麗子さんはとりわけつわりがひどかった。20代半ばと若かったが、毎日、吐いて目に見えるほどやせたうえ、切迫早産にさえなった。

「私がトイレに駆け込んでゲーゲー吐いているとき、夫は『え?』という感じで見ていただけ。冷たい視線が忘れられません。背中をさすれ、とまでは言わないけれど『大丈夫?』とか、何か言葉があってもいいのに、と思いました」

妊娠時の体調不良から仕事を辞めた麗子さんに、後日、夫はこう言った。「俺の会社にも妊娠している女の人はいるけれど、麗子みたいになってないよ。みんな普通に働いているよ」。

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