晩婚化と男性不妊の切っても切れない関係 女性だけに原因を求めてはいけない
結婚して「子どもが欲しい」と望んでも、なかなか子宝に恵まれない。そんな「不妊」に人知れず悩んでいる夫婦は少なくない。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、日本のカップルの6組に1組は何らかの不妊治療をしたことがあるといわれており、それがきっかけで離婚に至ったり、うつになったりといった例もあるようだ。
日本では不妊はタブー視された問題でもあり、教育などの場で情報を得る機会が少ないため、正確な知識が広がっていない。だから「不妊は女性に原因がある」という偏見がいまだに残っていて、不妊治療も女性側に偏りがちだ。
ところが、WHO(世界保健機関)の調査によると、そのうち、女性に原因がある場合は41%、男性に原因がある場合は24%、男女ともに原因がある場合は24%となっている。不妊は女性側の問題と思われがちだが、不妊カップルの半分は男性に原因があるのだ。
背景にあるのは、結婚の晩婚化にあることをご存じだろうか?
男性も35歳を超えると緩やかに下降
「卵子と精子はどちらかの質が劣っていても、片側が補って受精にいたることができます。ところが晩婚化が進み、女性の妊娠年齢が上がるにつれて、求められる精子のレベルも上がっていくことにより、男性不妊も増加してきているのです」
そう語るのは男性不妊の第一人者として知られる、獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授の岡田弘医師だ。日本生殖医学会によると、30歳代の精子と50歳代の精子を比較したところ、精液量は3~22%、精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら