「仕事優先で別居婚」夫婦は、うまくいくのか 妻は北海道、夫は愛知で仕事に邁進

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「別居婚」は実際のところどうなのか?(イラスト:堀江篤史)

名古屋にある焼き鳥の名店「きんぼし」で、ちょっと変わった晩婚さんを待っている。大学教員の菅原信彦さん(仮名、42歳)は、2年前に同い年の女性と結婚して以来、愛知と北海道での遠距離別居婚を続けているという。

妻の由里さん(仮名、42歳)は信彦さんと同じく研究者であり、生まれたばかりの娘と北海道で2人暮らし。新婚生活は順調なのだろうか。そもそも2人はどんな経緯で出会って結婚することになったのか。「フォアグラとマンゴー」など独創的な焼き鳥を食べながらあれこれ聞くことにした。

大学院を卒業したら「モテ期」到来

約束の時間どおりに現れた信彦さんは、清潔感のあるカジュアルな服装で細身の体を包んだ物腰穏やかな男性である。インタビューの途中で、筆者の晩婚生活のことも質問し、話しやすい雰囲気にしてくれる。コミュニケーション能力が高く、外見にも問題がない大学教員。モテないはずはない。40歳での結婚までは遊び回っていた、というわけでもなさそうだ。

「研究者には珍しくないのですが、私は大学に2回行きました。学部を卒業したのが26歳です。博士課程を終えて現在の大学に就職できたときには34歳になっていました」

親の援助がないかぎり、学生結婚は難しい。逆に言えば、30代の働く未婚女性にとっては、大学院に在籍中の男性は競争率が低く、将来の結婚相手として有望かもしれない。

ただし、男性はキャリアや経済面での見通しが立たないと、恋愛や結婚には気持ちが向かない人が大半である。信彦さんもそのひとりであり、就職して初めて結婚を意識し、急激にモテ期を迎えた。

「別の大学で事務員をしている女性が私に好意を示してくれました。仲のいい同僚にも紹介したところ、『(職場に戻るために)走って行く後ろ姿がアラレちゃんみたいだね』と言われて、恋愛のテンションが下がったことを覚えています。振り返ってみると、ダメ出しばかりする彼のせいで、何人もの恋人候補を失いました。今の妻は彼には会わせていません(笑)」

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