「仕事優先で別居婚」夫婦は、うまくいくのか 妻は北海道、夫は愛知で仕事に邁進

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信彦さんたちは女性の学生や研究者が多い学問分野に身を置いており、外見や立ち居振る舞いに目が肥えてしまっているらしい。教授の娘も含めてさまざまな女性を紹介され、好意を示されたが、どの人にも「ピンとこなかった」。

「ひとりだけ、すてきだなと感じた女性研究者がいました。でも、最初のデートで『子孫を残したいので早く結婚して』と迫られたんです。ロマンチックじゃありませんよね。丁重にお断りしました」

ピンとこない、ロマンスを感じない、恋の化学反応が起きない……。30代以降の未婚男女からよく聞くセリフである。10代20代の頃に比べると、自らの嗜好や価値観が確立するのと同時に「恋する力」は衰えてくるのだろう。

初対面の印象はお互いに「最悪」

それでも恋愛前提の結婚を重視するのであれば、出会いの数をこなしつつ長期戦を覚悟しなければならない。と言っても、合コンなど「外」に出撃することばかりが策ではない。足元の人脈も活用したい。学校や会社、行きつけの店、社会人サークルなどで、すでに知り合っている異性を見つめ直すのだ。

信彦さんと由里さんの場合も、結婚する3年前に大阪で開かれた共同研究会で知り合っていた。初対面の印象はお互いに「最悪」だったという。

「妻の研究分野は僕とは微妙に違うのですが、彼女の発表内容に僕は素朴な疑問をぶつけました。その質問内容が気に障ったらしく、ガーッと反論されて質疑応答は終了。その後、彼女は僕のことを『トンチンカン』と呼んでいたそうです。僕としても怖い女性なので二度と近づかないようにしようと思っていました」

第一印象が悪くても、研究者仲間ではあれば顔を合わせないわけにはいかない。翌夏、今度は由里さんの地元である北海道で研究会が開かれた。合宿形式だったため、参加者はゆとりを持って意見を交わすことができ、和やかな雰囲気になった。

「彼女とも2人きりであらためて話す機会がありました。表情が豊かで柔らかい感じの女性だ、と印象が180度変わりましたね」

その頃、信彦さんは別の女性と結婚を視野に入れてデートを重ねていた。しかし、やはり「ピンとこない」。このまま結婚して大丈夫なのか。悩んでいたときに再会した由里さんは輝いて見えた。

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