「仕事優先で別居婚」夫婦は、うまくいくのか 妻は北海道、夫は愛知で仕事に邁進

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本命を由里さんに切り替えて、アプローチを開始した信彦さん。地元・九州で開催された研究会で再会することができ、「お付き合いをしませんか」と告白した。由里さんの返事は、「すぐに返事ができない。考えさせてほしい」だった。3度しか顔を合わせていないので仕方ない。待っていても返事がないため、信彦さんはもう一度由里さんと会い、プレゼントも渡し、告白への返事を求めた。

「言わなくてもわかるでしょ」

由里さんはほおを赤く染めた。照れ屋の女性なのだ。翌年のゴールデンウイークには由里さんの実家に泊まることを許され、結婚する運びとなった。

別居婚中に出産した妻のストレスが大変なことに…

結婚しても遠距離別居をしている最大の理由は、お互いの仕事だ。由里さんは地元に根付いた研究活動をしており、別の地域では仕事がしにくい。信彦さんのほうは愛知県にこだわっているわけではないが、研究分野が特殊なため北海道内の大学で職を得るのは容易ではない。

「私の地元でもない愛知に嫁いでも仕方ない、暑いのも苦手、と妻は主張します。つい『仕事さえあれば北海道に行ってもいいよ』と言ってしまいました。それで彼女の気持ちは完全に北海道に傾きましたね」

由里さんの母親は2人の結婚を見届けてすぐに他界しており、父親は道内の遠隔地に単身赴任中だ。信彦さんが育児休暇を取得して3カ月間は北海道で一緒に過ごしたが、信彦さんが愛知の職場に復帰してからは、母子家庭状態の由里さんにストレスがたまってしまった。

「ちょっと前までは離婚の危機を迎えていましたよ。LINEでのやり取りではらちが明かないので、5日間ほど北海道に滞在して話し合いました。最初、彼女は私への不満点を長文の文書にして渡してきたんです。『あなたの出方次第で離婚する』と言われて、私も感情的になってしまいました。翌日も話し合ったところ、3年後をメドにして一緒に暮らすことにしたんです」

来年、信彦さんはサバティカル(研究目的の長期休暇)を取得してヨーロッパに滞在する予定だ。海外経験が豊かな由里さんも賛成し、一緒に赴くことを約束してくれている。

「海外滞在を挟んでなら愛知に行ってもいい、と妻は言っています。女性の気持ちは理解不能ですよ……」

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