「産めるときに産みたい」はワガママなのか?

浦安市と連携し卵子凍結を行う菊地医師に聞く

卵巣の中にある卵子は、どんどん減っていく。残念ながら取り戻せません。数だけではなく、質も悪くなっていく。今の自分はどうなのか、血液検査でAMHというホルモンを測ることによって、ある程度は把握することも出来るようになっています。

このようなことをいまだに知らない人がいる。26歳までが妊娠のピークだと急に言われても、困りますよね。社会が伴っていないのに、その事実だけを突きつけても意味がない。そこまで急激には下がらず、実際には30代前半までは妊娠の確率が比較的高いのですが、ではそれまでに出産するためにはどうすればいいのか、その社会をどうやって作っていくのか。これは、もちろん男性も一緒になって、作っていかないといけない。

――反対派の人もいますよね。それでも、これだけ熱意を持って取り組んでいる。そのモチベーションの理由は。

何でしょうかね。でも、未受精卵子の凍結保存を希望して病院に来る患者さんたちの話を聞いていたら、頑張らなくちゃいけないと思いましたよね。

病気がある人もない人も、皆さん本当に切羽詰まっているんです。旦那さんが病気の場合もそうです。自分の病気のために、奥さんの卵子が老化していくのを待つことしかできない。

そういう人たちに感謝されて、本当にやってもらえて良かったと言われたら、頑張るしかないです。未受精卵子の凍結について反対している人たちには、この患者さんたちの声を聞かせてあげたいです。多分、実際の患者さんの声が届いていないと思うので。

セミナーを受けたけれど、卵子凍結を希望しなかった人もたくさんいるんです。その中には、「20代のうちに未受精卵子の凍結も選択できるということがとてもよく分かった。でもその確率は100%ではないし、私はやっぱり自然妊娠したいので、そのために早く結婚しないといけないと、改めて思った。」と書いている人もいるんです。思っていたよりも確率が低いので、ここに期待するよりも、自分で早く結婚相手を見つけようというコメントもありました。

私は、この未受精卵子の凍結保存をすべての女性に勧めているわけではありません。啓発活動になれば、ということでもあるのです。

浦安市の取り組みとこれから目指すもの

――多くの医療関係者にも伝えたいと、この浦安市の未受精卵子凍結保存について、近いうちにまた学会でも発表される予定だと聞いています。どんな話をされる予定なのでしょうか?

今年9月の受精着床医学会と11月の生殖医療学会で発表する予定です。内容は、卵子凍結保存を望んでいる人たちがどんな経歴か、という実情がメインになると思います。

未受精卵子の凍結保存については、批判や慎重な声が少なくありません。自分都合の勝手な理由で凍結したいと考える女性ばかりが来ているかのように、思っている人が多いような気がするんです。

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