緊張するそぶりもみせず、バーに慣れた感じ。学生さんにしては、落ち着いた態度で飲んでいたので、もしかしたらお父さんか誰かに連れられてバーを訪れた経験があるのかもと思い、聞いてみました。
「そうではないんですけど、希望する業界に就職が決まったので、ワイワイ騒ぐだけの学生の飲み方は卒業しようと思って、ひとりで飲みに行けるバーを探していました」
ところで、学生さんにとって、バーって高くないですか?
「自分に必要であれば、遊ぶ金は惜しみたくない」
「親父が、遊びに金を使う人で。ずっと商社勤めだったんで、海外暮らしも長く、いろんな遊びを知ってるんですよ。アジアの某国では、公用車とは別に自分でBMWをぶっとばしてましたね。あとは、ラジコンのホーバークラフトをつくったり」
「子供のときから、仕事もばりばり、遊びもしっかり、そんな姿を見て、カッコいいと思っていたので、自分も大人になったら、大人の遊び方ができる男になりたいと思ってました。だから、バーの飲み代は気になりません。自分に必要だと思うから」
「そういえば、子供の頃、香港に住んでいたときは、車でちょっと行くと、釣りができる場所があったので、よく、そこに釣りに連れて行ってもらいました。楽しかった」
お父さんが、憧れの大人なんですね。
「親父は、商社の後、証券会社の国際部にスカウトされてそこで約10年、中東やアジアの政府・民間の資産運用を担当。その後自分で会社を起こし、いま香港でシステム開発の会社の社長をやってます。社長といっても、社員とその家族を本当の家族より大事にしていて、すごくアットホームな感じです」
ただ、そんな小田くんにも、ちょっとだけ、ブルーな記憶が。
「ただひとつ言うとすると、海外での転勤族だったので……。僕が住宅メーカーに就職を決めたのは、子供のころからのその記憶があるからかもしれません。自分の関わる仕事でできる家が、そこに暮らす人の思い出の場になるって、いいなって」
小田くんなら、きっといい営業マンになれると思いますよ。
「ただ、住宅メーカーの営業の厳しさは半端じゃないみたいなんで。4月からは、きっと、ここに来る回数も増えます、間違いなく(笑)」
ちなみに、小田家はお母さんも仕事を持っていて、日本と香港に別れて暮らしていても、夫婦仲はとてもいいそうです。万博世代にも、こんなカップルがもう誕生していたんですね。
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