遊びだけでは満足できなくなる富裕層の心境 とどのつまり、教育は最大の関心事になる
という具合に、お金持ちの発展段階論を展開したあと、冨田さんが指摘したのは、古今東西の、そしてどんな発展段階の富裕層にも共通する興味関心としての子女教育だった。
一族の破滅を防げ!
「育ちと経験、人付き合いで、人としての深さが決まる」と冨田さんは言ったが、このうち育ちだけは後天的に左右することができない。
富裕層の多くが子や孫の教育に熱心になる所以だ。富裕層の多くが子女を一流ボーディングスクールに行かせるのは、同じクラス(階級!)の子どもたちが世界中から集まってくるからだ、と冨田さんは言う。
「私たちは、本質的には親の影響を最も受けていると思います。それは、お腹を痛めて産んだ子だからとか、遺伝的に云々という話だけでなく、一緒にいる時間が一番長かったからでもあります。幼少時の影響はとても大きい、そして学校の友達の影響も大きい。となると、子どものころから大富豪の子女のネットワークのただなかに放り込めば、その子にとっては周囲の価値観が当たり前のこととして身につきます。
早くからトップのネットワークに入れてしまえば、そういうクラスの子に育つんです。日本の“お受験”とはまったく違う世界です」
海外での富裕層の子女教育には、お受験とは異なる“目的”がある。
「富裕層の子女が必ず身につけなければならないのが“モラル”です。大富豪の資産を受け継ぐのは一族の子女ですから、浪費家に育ってはいけません」
冨田さんによると、教育の内容も変わりつつあり、教育を施す場所も多様化してきているそうだ。