「学び直し」しない日本の会社員人生は危ない

25歳以上の大学入学者の割合はたった2%

内閣府の調査でも大学などで学びたいと考えている人は8割近くになります。ただし、学びたいと考えている人のうち半数は教養を深めて人生を有意義に過ごすのが目的。残りの半数は仕事上の必要性を感じてと回答しています。なので、全体で4割は仕事のための学び直しを希望していることになります。とすれば、学び直しはしたい人がたくさんいるのに誰もできないのが現在の職場環境ということになります。これは大きな問題ではないでしょうか。

世界では25歳以上の大学での入学割合について、第1位はアイルランドで32%。以下、ニュージーランド、スウェーデンと続き、日本が最下位。OECDの平均は18.1%。さらに就業を目的とする高等教育機関への入学者のうち25歳以上の割合は、OECD各国平均で3割超にも達し、社会人学生も相当数含まれる一方、日本人の社会人学生比率は約21%と同様に低い状況です。つまり、社会人になってからの自分の社会人としての成長機会は会社における人材開発に限定されるのが実態ということになります。はたして、これで働き方の改革はできるのでしょうか?

学び直しさせた社員が辞めてしまう問題

日本企業でも社員の学び直しを重要視し、選抜した社員の国内外の大学への留学を積極化していた時期がありました。ところが、学び直した社員が別の会社に転職をするケースが続出。これでは、会社にとって意味がない……とやめてしまうのも仕方がありません。

ちなみに当方もリクルート社時代、国内の大学院に留学させてもらいました。その当時、同じように留学した社員が数名いました。ところが卒業すると間もなく、当方以外はベンチャー企業の役員に転職、ないしは自ら起業するなどして会社から去っていきました。当然ながら、留学にかかった費用はそれなりのもの。「学び直しさせても、会社にはメリットがない」と留学の中止を叫ぶ役員の意見があって、その後に留学制度がなくなったと記憶しています。

おそらく同じような出来事が起きて、学び直しを見直した会社がたくさんあったのでしょう。それから、時間は経過しましたが、この問題はあまり改善されぬままの状況が続いているようです。

さらに問題なのが人材開発のための研修などの実施が、内製重視になっているという点。文部科学省の調査でも企業の人材開発で大学を活用しているのが数%しかないのに加えて、外部の研修機関を活用することをせずに社内で行う傾向が顕著になっています。

取材したあるコンサルティング会社のマネージングディレクターは、海外のMBAを取得。会社を辞めずに学び直しするということを会社に理解してもらおうと、根回しには相当な時間をかけたようです。残念ながら会社側は学び直しを応援する状況ではなく「会社に迷惑をかけないのであれば、どうぞ」という渋々な感じであったようです。このような状況では大抵の人は学び直しはあきらめてしまうのではないか、と語ってくれました。

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