「流行の服ばかり着る人」は出世できない そろそろ「戦略的に装う」ことが重要だ
5. Emotional 感情に訴求する
キャリアステージが上がるにつれて、重要になってくる要素です。リーダーとして多くの人に注目されるようになるだけに、共感、憧れを抱かれる装いであるかどうかがカギになってきます。私がイメージコンサルティングをしたある女性は、管理職に昇進した際に「何だか近寄りがたい」と、部下や後輩から相談されにくくなってしまって困ったと悩まれていました。詳しく聞いてみると、きちんとしなくてはと黒のかっちりとしたスーツにしたのですが、それが距離を感じさせてしまい、共感や憧れから遠ざかってしまっていたのです。
一方、他の方のケースでは、取締役に昇進したものの取締役会になじめずに困っていた方がいました。その方はフェミニンなワンピースや花のモチーフがついた靴を身に着けることが多かったのですが、黒の重厚な素材のエレガントなスーツにしたところ、CEOから「これならわが社の顔としてOKだな」と言われたそうです。このように黒のスーツでも共感を得られる場合とそうでない場合があります。部門の顔、組織の顔、社の顔として、認められるかどうかは、単に自分が好きなファッションをしているだけでは、難しいでしょう。キャリアステージが上がるにつれて収入が増え、ハイブランドで固めたり、派手なファッションに走ってしまう人もいますが、そうすると男性からは共感されにくいこともあるので、注意が必要です。
6. Story 物語性がある
冒頭の小池百合子氏は、永田町デビューの際には「永田町は魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する場所だと聞いたので」とサファリルックで登場したことがよく知られています。先日、都知事として初登庁した際には白にブルーという装いで現れ「グリーンじゃないのですね?」という質問に対して「グリーンは戦闘服。選挙戦は終わったので、これからはブルーオーシャンで行きたい」と説明しました。小池氏の政策のよし悪しは今後判断されるものになりますが、物語性の高い装いの戦略については優れていたと言えるでしょう。
物語性は人の記憶に残りやすく、他の人も語りやすいため、メッセージが広がっていくというメリットがあります。自分が取り扱う商品やサービス、自分自身のエピソードや思いを、装いを用いて物語で表現することで装いそのものではなく、それに込められた物語を周囲の人に記憶してもらうことができます。
流行とプレゼンスの関係
現在、日本のファッション産業は決して好調ではありません。過去10年くらいの推移を見てみると、市場規模は11兆円から8兆7千億円へと縮小し、その間、服の生産数は7億万枚増え、現在は40億万枚が市場に出回っています。つまり単価の下落を枚数増で補おうとしているのですが、そのために毎年目まぐるしく流行を変化させ、新しいアイテムが生まれています。
もちろんすばらしい服もたくさんありますし、ファッション自体を楽しんでいけないというわけではありません。しかし、流行に流されて装いをコロコロ変えてしまい、ビジネスにおいてとても大切な自分のプレゼンスを台無しにしてしまっていないか、一度考えてみてもいいかもしれません。
装いは無言のプレゼンテーションとも言えます。相手の期待に応えているとともに、自分が伝えたいメッセージを発信できているか、チェックしてみましょう。戦略的に装うことができれば、あなたのキャリアステージをあげる大きな強みになるでしょう。
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