職種別・外資金融マンの恋愛メカニズム 割高な奥さんを空売り?

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“親会社”の言いなりになると、奥さんがプットオプションを行使

さて、あなたがすでに魅力的な存在として世の中から認識されるようになったときに、あなたの人生に積極的に関与してくるのがグロースキャピタリストだ。これは文字どおり、すでにキャッシュフローが回って収益性が見えている有望企業の、さらなる成長をサポートする投資家である。彼らは大抵30%程度の持ち分(シグニフィカント・マイノリティ)を獲得し、“投資先であるあなたのバリューアップ”にかなりのリソースを費やす。

これは言うならば「お互いを高め合っていこうね」と契りを交わした若い、将来を約束したカップルみたいなものである。そしてあなた方は結ばれ、子会社(子宝)を複数設立してお互いのマジョリティシェアを持ち合い、あなた方はお互いの人生で一番大切なステークホルダーになり、お二人の人生が連結決算されることになる。

しかし、中にはいまだに独立しておらず“親会社”(実家の姑さん)からの影響を排せず、ご両親が筆頭株主という複雑な株主構成の家庭もあるが、そういうマザコン/ファザコン株主構成だと大抵、あなたは早晩プットオプション(保有銘柄を一定価格で売 り浴びせる権利)を行使されて離婚されてしまう。

次週、恋のバイアウトファンドマネジャーが登場

ともあれ、あなたはめでたく結婚して子宝にも恵まれ、幸せな10年間を過ごした。しかし終わりのない幸福は世の中に存在せず、すべての始まりには終わりが付きものだ。あなたの家庭にも、どうやら諸行無常の鐘の響きが聞こえてきたようだ。

あれだけ愛情に満たされ、向上心に燃え、まぶしいばかりの輝きを放っていたあなたも日々の成長が鈍化し、いつしか日常生活に埋もれて人生の空模様が曇り出す日がくる。どうやらあなたを10年間支えてきたパートナーとの旅路は、その終着点を迎えたようだ。今まで伴侶として一緒に暮らしてきて、それなりに幸せな家庭も築いた。しかしながら、この人と一緒にいたら、これ以上、人生のアップサイドはないかもしれない。

私はまだ30代後半、このままで終わりたくない。人生で、もう一花咲かせたい。私を取り巻くステークホルダーとの関係を整理して、新しいパートナーともう一度人生を出直したい――こんな時に現れるのが、恋のバイアウトファンドマネジャーだ。

※ 最終回に続く:エリートたちのキャリア・恋愛事情<最終章>

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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