突然売られないために、愛のIR活動を積極的に
ともあれ公開株のファンドマネジャーは、あなたがファンダメンタルに比べ割高か割安かを意識的ないし無意識的に判断し、他の銘柄と組み替えるべきかどうかをつねに考えている。そんな激しい競争環境にある中、突然投資家(交際相手)から売られないようにするため、あなたはIR(インベスター・リレーションズ)機能を強化し、彼氏ないし旦那様とのコミュニケーションを愛想よく、かつ密接なものにするかもしれない。
だが、IRがいいからといって株の評価が上がるわけではないのと同様、結局はあなた自身のファンダメンタルな魅力を高めるか、魅力度に応じた “適切なご自身の株価”を設定することが、長期的な蜜月関係の維持に重要なのである。
仮に貪欲なあなたが“自身の市場価格“を見誤り、アグレッシブに“自分自身の目標株価(ターゲットプライス)”を引き上げると、愛のブックビルディング(投資家からの需要集め)に失敗して再度値下げを余儀なくされ腰を低くせざるをえず、「なんかあいつ、あからさまに下手に出て尽くすようになったよな」と厳しい愛の懐事情を恋愛市場に見透かされるだろう。
恋のベンチャーキャピタリストの恋愛手法
さて、恋愛のベンチャーキャピタリストに当たるのは、滋賀県の片田舎のダサい近所のスーパーでお母さんが買ってきた2000円のワンピースを着ていた黒縁メガネのあなたの将来性を見抜き、小学生2年の時からやたらとちょっかいを出してきた隣のクラスの黒田君である。
ただしベンチャー投資家はリスクが高いアーリーステージ(初期段階)の会社が投資対象なため、クラスのお調子者、黒田君はハイリスクをヘッジするために同じような“軽度のコミットメント“を多くのクラスメート30名に対して行っている。そして徐々に頭角を現してきたクラスのアイドル候補に、セカンドラウンド、サードラウンドの追加出資をし、徐々に黒田君はその関与の度合いを選別的に深めていくのである。
恋愛経験豊富な黒田君は、ベンチャーキャピタリストと同様、愛情の追加出資に関しては独自のラチェット条項(追加出資の前提条件)を内心設けて誰に追加投資するかを厳しくモニタリングしている。なお世のベンチャーキャピタルファンドと同じく、ポートフォリオの半分くらいは減損するのを前提でちょっかいを出しているので、途中であなたに振られたところで黒田君はびくともしない。
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