職場のリーダーは投票で選ばれるわけではなく、特定の誰かに任用されるもの。たとえば、ある会社で営業組織の新しいリーダーが選ばれるプロセスを取材したことがあります。当然ながら、これまで営業組織を支えてきた現リーダーがいました。その現リーダーに対して社長が尋ねました。
「君の後任として適任となるリーダーは誰か教えてくれないか?」
現リーダー(Cさん)は自分の引き際を理解すると同時に、後任となる新リーダーを指名しました。それは同じ組織で高い業績をあげていた部下のマネジャー(Sさん)でした。社長はその指名を了解して、後継者の指名を現リーダーに任せました。翌日にCさんはSさんに「飯でも行かないか?」とランチを誘い、そこで「この営業組織で次のリーダーを君に任せたい」と切り出しました。Sさんは驚きの表情を浮かべながらも「承りました」と受諾の回答。
こうして次のリーダーが任用されました。次の組織改編でSさんは営業部門の事業部長になり、Cさんは子会社の役員として出向する人事異動が発表されました。
特定の数名で決めることが大半
このように会社のリーダーが選ばれるプロセスでは、職場の社員たちの意見も参考にされたりはするでしょうが、結局のところ、決めるのは特定の数名です。密室で決められているという会社も大半ではないでしょうか?
ゆえに、同じような価値観の人物を選びがちになります。こうした密室人事の批判は以前からよく聞く問題。大手の金融機関やメーカーにおいて密室人事で選ばれたリーダーたちが経営トップの暴走を止められなかった、あるいは不正に加担した……など、会社をマイナス方向に導く温床になったといわれる事例は限りなくあります。
では、と選挙で選ぶわけにもいかず、特定の誰かの判断によって任用される方法を取る会社が大半。代案の提案に関しては、別の機会に提示させていただくことにして、もしリーダーに選ばれたいなら、やはり現在のリーダーが共感し、次のリーダーに指名したくなるような仕事ぶりを発揮することが近道ともいえます。
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