EU離脱で日本企業は英国から脱出するのか 日立、日産、野村などが抱えるそれぞれの事情

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英国内を走る日立の車両(写真:記者撮影)

「英国はEU(欧州連合)の一員という前提で鉄道工場を作った。離脱には絶対に反対だ」

今年5月の経営方針説明会で、日立製作所の東原敏昭社長は、日本企業のトップとして異例のメッセージを出していた。ここまで踏み込んだ発言をしたのは、近年力を入れる鉄道事業において、英国拠点の重要性が増していたからだ。

2012年〜2013年、日立は都市間高速鉄道車両置き換え計画(IEP)を、約8000億円で受注。2014年4月には鉄道事業の本社機能を日本から英国のロンドンへと移転した。同国を拠点に受注活動を強化し、グローバル展開の先陣を切る事業に位置づけたのだ。

キャメロン首相が日立の工場に期待

2015年9月にはニュートンエイクリフに約110億円かけて工場を建設している。開所の際には、キャメロン首相が「日立による巨額投資は、力強く成長する英国経済への信頼の表れ」とコメントし、雇用創出などに期待を寄せていた。

では、英国のEU離脱により、今後どのような影響が考えられるか。最も懸念されるのはやはり関税だ。IEPは英国内向けの事業ながら、日立はEU向け鉄道市場の開拓も目指している。

同市場では加ボンバルディア、独シーメンス、仏アルストムの世界3強がしのぎを削っており、日立はその牙城を切り崩しにかかっている。英国からEU市場向けに輸出する際、関税が引き上げられることになれば、不利な条件での戦いを強いられることになる。

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