英国の鉄道運行に初名乗りを挙げたJR東日本 信頼性は高評価だが、EU離脱で先行き不透明
日立製作所が製造する高速列車が走る英国に、JR東日本の運行する列車が走ることになるかもしれない――。JR東日本は三井物産とともに、オランダ鉄道の旅客輸送部門であるAbellio社と合弁企業を設立し、2017年10月から開始されるイングランド中部の路線網、ウェスト・ミッドランド旅客路線の営業権獲得へ向けて応札、最終選考に選ばれているのだ。
英国ではすでに、他国の企業による公共交通機関が多数運行されている。DB、NS、RATP…。これらの文字列を見てピンと来た人は、ヨーロッパの鉄道に少なからず知識のある人だろう。それぞれ順にドイツ鉄道、オランダ鉄道、パリ市交通局の略称だ。これら英国以外の交通企業のロゴを実は、真っ赤な2階建てバスで有名なロンドンバスの車体に見ることができる。DBとNSは、英国内の列車にもそのロゴを見かける。
それは、英国の公共交通機関への参入が海外企業にも開かれた「フランチャイズ制」を採用している、という理由にほかならない。
外国企業が参入する英国の公共交通
英国は、他のヨーロッパ諸国と同様、旧国鉄の民営化に際して上下分離方式を採用している。だが他国と異なっているのは、多くの旅客輸送事業を旅客列車運行会社(オペレーター)に数年単位の期限を設けて権利を与える「フランチャイズ制」を採用した点だ。国が保有する各路線の営業権に対して競争入札を行ない、最終的に権利を獲得した企業が、列車運行などの業務に当たることになる。
英国では鉄道のみならず、全ての公共交通機関に、この方式が採用されている。バスや列車の車体に他国ブランドの文字を見かけるのは、権利を獲得した他国企業がロンドンバスや鉄道などの営業を行なっているからである。
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