英国の鉄道運行に初名乗りを挙げたJR東日本 信頼性は高評価だが、EU離脱で先行き不透明

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契約満了より前に、諸般の事情でフランチャイズを解消させられたり、自ら打ち切ったりというパターンもあるが、その場合は再度入札を行なわれ、次の契約企業が決まるまでは、しばらく政府が営業権を保有し運行を続けることになる。

イーストコースト・メインライン(東海岸本線)はその一つで、前のオペレーターが撤退して以降、長らく政府保有の状態が続いていたが、最終的には日本でもお馴染みの有名企業、ヴァージン・トレインズ社が権利を獲得し、2015年から営業を開始した。

すでに長年に渡り、ウェストコースト・メインライン(西海岸本線)の営業権を保有するヴァージン・トレインズ社は、これで英国内を南北に結ぶ2大幹線の営業権を保有したことになるが、東海岸本線はヴァージン・トレインズ・イーストコースト(VTEC)という名称で差別化を図っている。

JR東日本が最終選考に!

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現在、ウェスト・ミッドランド旅客路線を運行しているロンドン&ウェスト・ミッドランズ鉄道の列車

今回、2017年10月から開始される、ウェスト・ミッドランド旅客路線の新たな契約に関して入札が行われたが、その最終選考には3社が選ばれた。

一つは、2007年より「ロンドン・ミッドランド」のブランドで、現在のウェスト・ミッドランド旅客路線の運行を行なっている、ロンドン&ウェスト・ミッドランズ鉄道だ。フランスのKeolis社(35%)と英国のGo-Aheadグループ(65%)の合弁企業Govia社によって運営されている。両社はいずれも、民間の公共交通企業で、国内に留まらず、ヨーロッパ全域で公共交通機関の運営を行なっている企業だが、その合弁企業であるGovia社は、ロンドン南部に路線網を広げるサザン鉄道や、南北を縦貫するテムズリンクなどを運営している。

もう一つは、MTRウェスト・ミッドランズ社だ。香港の公共交通企業MTR社の子会社で、香港では地下鉄のブランドとしてMTRの文字を見ることができるため、知っている方も多いかもしれない。同社は、ヨーロッパでは2009年よりスウェーデンのストックホルム地下鉄の運営を行なっているほか、2015年にはストックホルム~ヨーテボリ間にMTR Expressを運行開始するなど、都市間輸送にも参入を果たしている。

MTRは2004年から英国進出を目指し、数度の獲得失敗を経て、2007年にLaing社と手を組み、ロンドン市内や近郊を走る「ロンドン・オーバーグラウンド」の営業権を獲得、現在営業を行なっている。2015年3月には、エリザベス・ラインとしてまもなく産声を上げる新路線「クロスレイル」の8年間の営業権も獲得した。

そしてもう1社が、Abellio社がJR東日本・三井物産との合弁で設立した「ウェスト・ミッドランズ・トレインズ株式会社」だ。日本企業が英国鉄道フランチャイズへ応札した初めてのケースである。

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