エリートと一般市民の対立を生んだEUの大罪 今も欧州18カ国で32件の国民投票案件がある

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EU旗を持つ男性。国民投票で離脱派が勝利した後、ロンドンで撮影(写真: ロイター/Neil Hall)

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英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した衝撃はまださめやらない。しかし、欧州の統治者たちは、この先の出来事への心構えが必要だ。この衝撃は、欧州で国民投票が続発する幕開けなのかもしれない。

欧州全土には47党もの反対政党が存在する。反対派は政治問題を掌握し、自らの政治目的に従って問題を方向付け、そのプロセスで政権の座を勝ち取るのだ。EU加盟諸国の3分の1で、そのような政党が連立政権発足に成功し、主流派政党もそうした反対派の声の一部に適応している。

反対派政党のルーツは全く異なるが、共通点が1つある。何十年にもわたり欧州を形成してきた外交政策に関する民意を覆そうとしていることだ。

こうした政党は欧州に懐疑的で北大西洋条約機構(NATO)に反対であり、国境を閉ざし自由貿易を廃止したいと考えている。政治の外観を従来の右翼対左翼の戦いから変化させ、怒りを抱える地元民の保護政策と、彼らが拒絶するエリート的なコスモポリタニズム(世界市民主義)とを戦わせるよう仕向けている。

国民投票は反対派の武器だ

こうした反対派政党が好んで使う武器が国民投票なのだ。欧州外交評議会によると、現在、欧州18カ国で32件の国民投票が請求されている。デンマーク国民党など一部の政党は、英国に続いてEU離脱の是非を問う国民投票を求めている。ユーロ圏からの離脱、米国との環大西洋貿易投資協定(TTIP)阻止、あるいは労働者の移動への規制を求める政党もある。

直接民主制による大衆への権力奪還は、こうした政党の最も革命的な提案かもしれない。こうした提案は、最近世界的に起きている多くの抗議行動の元になった不満を反映している。アラブ世界では、こうした抗議行動が革命の火つけ役となった。要求の内容はもちろん異なるが、スペイン人、ギリシャ人、ニューヨーカーをデモに走らせているのと同じ精神が、こうした新たな国民投票や、それを持ちかける反対派政党への支持を拡大させている。

これは、主流派政党だけでなく、民主的な国家統治にとっても悪夢だ。カリフォルニア州の住民投票で示されたように、税率引き下げと福祉充実、あるいは環境保護とガス料金引き下げなど、国民が矛盾する事柄に対して投票するケースはよくあることなのだ。

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