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6月23日は、欧州連合(EU)を離脱して21世紀の英国を見捨てようというキャンペーンを行った人々にとっては、重要な日だったとされる。少なくともその点に関しては同意できる。「ああ、その日の哀れで悲しかった有様は」とキケロが書いた通りに。
EU離脱の決断を下したのに伴い、英国民の生活は少なくとも今後10年は大きな影響を受けることになる。連合王国が貧しくならず、世界での存在感が下がらないとは、まず想像できない。「独立」に賛成票を入れるよう、けしかけられた人たちは、自由を手にするどころか、職を失ってしまったのに気づいて、失望することになろう。
では、なぜこうなったのか?
離脱派の「嘘」に乗ってしまった
まず、国民投票という制度は、本来は複雑なものを馬鹿馬鹿しいほどに単純化してしまう。英国はEUに加盟しているため国際協力のごたごたに巻き込まれて主権が制限されているとの考えに基づき、一連の偽った主張や公約がなされた。離脱したとしても英国にとって最大の市場である欧州とは有利な通商協定を結ぶことが可能で、移民の数が減り、健康保険などへの予算が増えるとの公約が示されたのだ。
とりわけ言い立てられたのは、英国が一世を風靡するのに必要な創造的バイタリティーを取り戻すことが可能になる、という点だった。
今後懸念される事柄の1つは、こういった嘘の全てが明らかになるにつれて「離脱」を支持した人々の失望感が広がっていくことだ。有権者は「自分たちの国を取り戻す」と言われたのだが、結果として起こる現実を彼らが好ましく思う事は絶対にないだろう。
悲劇の2番目の理由は、英国の2大政党内部の分裂である。何年もの間、反欧感情が保守党の有力者らを蝕んできた。さらに、党の統制や党に対する忠誠心など、何年も前に吹き飛んでしまった、党員数が徐々に減少していったからだ。労働党内ではさらに悪いことに、労働者が多く住む地域で長年の同党支持者が「離脱」を、強く後押しした。
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