EU去る英国、足元で直面する3つの「懸念」 トランプ的ポピュリズムに騙された国の将来

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EU離脱決定は、ドナルド・トランプ的なポピュリズムが英国に定着したことを見せつけた。明らかに、”体制”の一員とみなされたあらゆる人間に対する敵意が、ポピュリストの津波に覆われて、そこら中に広がっている。あらゆる専門家の意見は、「持つ者」の「持たない者」に対する自作自演の陰謀を担ぐものだとして拒絶された。

従って、イングランド銀行(中央銀行)の総裁であれ、カンタベリー大司教であれ、米国大統領であれ、そういった人たちの忠告は無視されたのだ。こういった人たちは全て別な世界の代表者であり、英国の庶民の生活とは無関係であるとされた。

そのことがEU離脱賛成を後押しした第3の理由だ。社会的不公平感の増大が、大都市のエリートとみなされる人々に対する反乱につながった。サンダーランド市やマンチェスター市といった、イングランドの古い工業地帯では、ロンドンの発展に反対する投票行動が行われたのだ。グローバリゼーションは、英国外の人間と共に働く、頂点にいる人間の利益にしかならず、それ以外の人々は全員犠牲になっているとされたわけだ。

英国のEU加盟の熱烈な支持者が何年間もの間ほとんどいなかった理由は、以上の3点以外にない。この作り出された空虚感や幻想、欺瞞により、欧州各国の協力関係が消し去られ、英国はブリュッセルの官僚たちの奴隷だとの見方が助長された。離脱賛成に投票した有権者たちは、国家の主権という馬鹿げた考えを植え付けられ、国益よりも独立を、という茶番劇を選択するよう誘導された。

しかし嘆き悲しみ、自らの着ている服を引き裂いても何もならない。厳しい状況の中で、利害関係者は威厳をもって連合王国の国益を確保するよう努めねばならない。離脱派の主張は少なくとも半分は正しかったと願うのは、そうであったと妄想するのと同じくらい難しい。いずれにせよ、起きてしまったことに対しては最善の対処をしなければならない。

「最善の対処」を阻む3つの要素

それでも、3つの直近の懸念が頭をよぎる。

まず、キャメロン首相が辞意を表明した以上、保守党の右派とそのさらに急進的な党員が新政府を担うことになる。キャメロンは辞任するしかなかった。自分を裏切った党員たちの代理でブリュッセルに出向き、自分が正しくないと思う事柄について交渉を行うのはおそらく無理だっただろう。後継者が離脱派であれば、英国はここ10週間うそをまき散らした人物を、指導者として迎えることになる。

第2に、特にスコットランドと北アイルランドはいずれも残留に賛成だったため、連合王国をまとめてきた絆が切れてしまう危険が非常に高い。EU 離脱という反乱が、結果として連合王国の解体につながらないことを望むが、結果としてそうなる可能性は大いにある。

第3に、英国は早期にEU離脱交渉を開始する必要が出てくるだろう。現在対EU関係よりも良好な形で、交渉が終わる可能性は低い。全ての英国人は世界中の友人に対して、自分たちが穏健さを失ったわけではないことを、全力で納得させなければならない。

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