「金融ショック」と「政治ショック」はどこが違うのか
英国のEU離脱ショックで、世界の金融市場はまさかの大波乱に陥った。6月26日付の日本経済新聞は、「24日一日で世界の株式時価総額の約5%に相当する3.3兆ドル(330兆円強)が消失した」と報じている。
株価の下落幅や円高の幅が2008年のリーマン・ショック時を上回ったことで、メディアからは「英国のEU離脱ショックはリーマン・ショック以上である」との指摘も出てきている。
しかし、「金融市場での短期的値幅」でショックの大きさを測るというやり方は、あまり賢明なものではない。リーマン・ショックと英国のEU離脱ショックの間には「ショックの質」に大きな違いがあるからだ。
それは、前者が「金融ショック」であるのに対して、後者は「政治ショック」だという点である。「金融ショック」も「政治ショック」も、金融市場や経済に大きな影響を及ぼすという点では同じである。異なるのは「貸したカネが返ってこない」という事態を伴うかどうかだ。
「金融ショック」は簡潔に言うと「貸したカネが返ってこない」ことによって生じるショックである。これに対して、今回の英国のEU離脱ショックは、想定外の出来事ではあったが「貸したカネが返ってこない」という事態が原因だったわけではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら