東京株式市場は日米の金融政策がまずは目先の焦点となります。ただ、14日-15日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、利上げ見送りはほぼ確実視されており、市場は波乱なく通過する公算が大きい。弱い結果になった米5月雇用統計やイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受け、市場の利上げ見通しが大きく修正されたからです。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループのフェド・ウォッチ・ツールが示す6月の利上げ確率は13日現在、わずか2%程度となり、7月の利上げ確率も18%程度まで低下。利上げ確率が50%を超えているのは12月です。そういう状況もあってか、すでに来週の欧州連合(EU)離脱の賛否を問う英国の国民投票にかなりの部分が目移りしているよう。経済損失を訴える残留派がやや優勢と伝えられるも、英国のある世論調査会社によるとEUからの離脱支持が残留支持を上回ったとの報道もあり、世界の投資家の不安心理をあおるような格好となっています。
日銀のサプライズ狙いは無理な話
一方、15日-16日は日銀金融政策決定会合が開催されます。英国の国民投票後の混乱への対応や、消費増税が再延期になったことで追加緩和策はないとの見方もありますが、仮に今のタイミングで追加緩和策が実施されると市場にはサプライズになるかもしれません。ただ、経済状況が悪化するに従って「催促相場」というか、追加緩和策への期待が高まる流れになっているため、サプライズ狙いなどいまさら無理な話。あとは規模観でサプライズを呼び込むか、あるいは追加緩和策の効果を高める外部環境からのフォローがあるかどうかでしょう。
たとえば、規模観でいくと、メガバンクの国債離れにもつながったマイナス金利導入への批判は根強く、考えられる手段としては、ETF(上場投資信託)の買い付け枠をコントロールするぐらい。現在の年間3兆円の買い付けから倍額の6兆円か10兆円まで拡大し、さらに買い付け方法を変える手段などが考えられます。
外部環境では、米国の主要株価指数の堅調な動きが最も安心材料です。米国市場だけは別格、質への逃避といえばそれまでですが、欧州発のリスクが拡大するかもしれない状況下でも下げが続かないのはなぜか。「相場は相場に聞け」ではありませんが、英国の国民投票後の結果は、今騒がれているほどネガティブには影響を及ぼすことはない、ということなのかもしれません。離脱多数となった場合、マーケットは将来の何を織り込んで混乱するのでしょうか? 中長期的に経済に悪影響を及ぼすことがややイメージ先行の感があり、むしろ目先的には不安材料通過で世界同時株高が予想されます。
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