やはり、というべきか、金融市場の動揺はまだ収まってはいない。6月17日の日経平均株価は前日比165円高の1万5599円で取引を終えた。だが英国のEU(欧州連合)離脱問題(Brexit、Britain(英国)とExit(出口)が組み合わされた造語)への懸念が意識され、午後はむしろ下落した。
16日に「EU残留」を支持する英国の野党議員が襲撃を受けて亡くなったことから、23日の国民投票に対するセンチメントが変化したとの見方はあるが、引き続き予断を許さない状況だ。
もし英国が本当にEUを離脱したら?
英国の「EU離脱」の是非を問う国民投票は、5月あたりまで市場ではほとんど意識されていなかった。「EU残留(世界経済にポジティブ)」が市場コンセンサス(予想)となっており、ほとんど誰も「EU離脱(世界経済にネガティブ)」を想定していなかったわけだ。
だが楽観ムードが漂っていたなか、突如英世論調査で「EU離脱」が優勢と伝わったことから、市場は強烈な冷や水を浴びる格好となった。人間同様、市場も想定外の出来事には弱い。
「世論調査はあまり当てにならない」との指摘もなお少なくない。また、英国のブックメーカーでは「EU離脱」のオッズが低下(可能性が高まっているから)していたが、ユーロ2016(欧州で1カ月間開催されるサッカーの一大イベント)開催を受けて、ブックメーカーはEU離脱問題にあまり力を入れていないとの声も聞かれる。
筆者は、はやくも7月辺りになると「あの警戒ムードはなんだったの?」といった状況になるのではと、密かに考えている。だが、英国が実際に「EU離脱」となればどうなるのか、いろいろと想定してみた。
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