英国EU離脱で「リーマン並み超円高」は本当か 23日の国民投票が徐々に近づいてきた

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つまり、現在のポンド・円の水準は1ポンド150円前後なので、今よりも20円ほど円高に進むとの見通しだ。

リーマンショック並みの為替水準になる?

2008年のリーマンショックや、2012年の欧州債務危機(ギリシャの債務返済問題)でのポンドの水準は120-130円くらいだった。要は、それ以来の水準までポンドが下落する可能性があると、英国当局は警告しているわけだ。英国が1年間の景気後退となれば、輸出入で密接な関係がある欧州はともかく、日本にとってもかなりのマイナスになると言えよう。

「英国の主な日本企業」ということになると、日立製作所が鉄道車両を製造しているほか、富士通はIT事業の中核拠点を置いている。また、欧州市場での売り上げが高いマツダ、キヤノン、ニコン、ダイキン工業といった企業は、欧州景気鈍化の影響をダイレクトに受ける可能性がある。

また、英国が世界に誇る金融街シティが景気鈍化に伴い力を失うことにでもなれば、バークレイズ、HSBCといった英系銀行だけではなく、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、三菱UFJ銀行、野村證券など日米金融機関もマイナスの影響を受けるはずだ。

為替の円高推移で企業業績が減益基調となるほか、実体経済の低迷の影響を受けるとなると、株式市場にもかなりきつい状況となろう。ただこうした「恐怖のシナリオ」が本当に実現するかどうかは、不確定だ。市場がもっとも嫌うのは、不確定な状態が続くことだ。

23日の英国の国民投票の出口調査は実施されないとのことだ。国民投票は日本時間の24日(金)の午前6時に締め切られ、順次開票作業がスタートする。ロンドンなど大都市の発表は遅くなる見込みで、まずは地方都市から結果が伝わる。今のところ日本時間24日の12時頃には大勢が判明する見通しだ。

さまざまな思惑が先行することで、24日は朝からてんやわんやの大騒ぎとなるかもしれない。売買が細っている東京市場だが、さすがに24日は大商いとなりそうだ。

原稿執筆時点での筆者の個人的見解だが、英国の「EU残留」決定に伴い、買い戻しが加速し、日本株は大幅上昇となる展開を想定する。

外国人投資家がアベノミクスへの関心を失っているなか、仮に「EU離脱」となれば、安倍政権がどれだけ目を見張る経済対策を打ち出しても、焼け石に水となってしまう可能性もある。それは避けたいところだが、どうなるだろうか。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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