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欧州は脱炭素で石油帝国ロシアの脅威を排除せよ。クレムリンの力の源泉・石油とガス輸出に立ち向かえ

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ロシアのプーチン大統領
ロシアのプーチン大統領(写真:アフロ)

ロシアのウクライナに対する戦火が東方で猛威を振るう中、欧州の指導者たちは低迷する自国の経済をよみがえらせる力を自らが有しているという事実を進んで認めるようになってきた。何十年という緊縮財政を経て、各国は再び支出に前向きになっている。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。

だが、それは貧困を終わらせたり、脱炭素を加速したり、崩壊の進む基礎的公共サービスを立て直すためではない。欧州の財政力はそうしたものにではなく、戦車、ミサイル、戦闘機に向けられている。

防衛支出を軸にした経済の再編成は軍事ケインズ主義として知られるものだ(ジョン・メイナード・ケインズは、そのような用語は支持しなかっただろうが)。

軍事ケインズ主義の限界

軍事ケインズ主義の復活にも美点がないわけではない。背後には、欧州諸国の多くで経済の実力低下を招いてきた緊縮政策を逆転させようという発想があるためだ。欧州の生産性は過去10年にわたり米国の半分のペースでしか伸びておらず、2023年には1%低下した。実質賃金は10年にわたって停滞を続けた後、22年に4.3%、23年に0.7%と立て続けに下落。投資は、格差と気候崩壊の二重危機(ツインクライシス)に立ち向かうのに必要なレベルとは程遠い状況にある。

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