クリス・パッテン卿がスターマー英首相に期待する理由、「アメリカを含む権威主義国に対抗する自由民主主義国連合をつくれるかもしれない」

ポピュリズム政治に支配された10年近くを経て、イギリスと欧州連合(EU)は方向転換を迫られている。
慎重すぎるほど慎重ではあるが、イギリスのキール・スターマー首相が欧州の同盟国に対して示した外交政策は、ブレグジットの影から抜け出す長い道のりになりそうな、歓迎すべき第一歩である。
高まるイギリスの役割
最も親密な政治的同盟国である欧州連合(EU)を5年前に離脱して以来、イギリスは世界における自らの位置をますます意識するようになっている。アメリカが多国間主義を放棄する中、スターマー首相の労働党政権はドイツ、フランス、イタリア、オランダといった同盟国との関係再構築に取り組んでいる。

生来慎重な政治家であるスターマー首相は、拙速な行動を取るようなことはないだろう。
しかし、イギリスのEUとの貿易関係を強化し、欧州の主要国との安全保障協力を深め(特にウクライナを支援)、世界中の民主的同盟国と再び手を結ぶという彼の努力は、イギリスを西側同盟の中心に位置づけるという野心的な狙いの表れといえる。
この変化の最も明確な例は、中東政策にある。ガザとヨルダン川西岸におけるイスラエルの「完全に不釣り合いな」行動を非難し、「国際人道法に違反する危険がある」と警告した、イギリス、フランス、カナダによる共同声明である。同時に、ハマスによる10月7日のイスラエルへの攻撃を明確に非難し、イスラエルの人質全員の即時解放を求めた。
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