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「迂回融資・横領・隠蔽」いわき信組で驚愕の不正行為が横行、信頼失墜で高まる信用不安、預金の引き出し求めて開店前から並ぶ顧客も

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不正融資について謝罪するいわき信用組合の本多洋八理事長
長年にわたる不正融資について謝罪したいわき信用組合の本多洋八理事長(写真右、撮影:梅谷秀司)

福島県いわき市を地盤とするいわき信用組合は5月30日、不正融資をはじめとした不祥事に関する第三者委員会の調査結果を公表した。昨年9月に元職員がSNSで告発したことをきっかけに発覚したこの事件。組合は11月に「投稿の内容はおおむね事実」と認め、第三者委員会の設置を発表していた。

調査報告書によれば「我が国の金融機関の歴史を見ても類例をみないほどに悪質な事案」だといい、不正融資の始まりは遅くとも2004年3月にさかのぼる。当時、つばさ信用組合と合併(2002年)した影響もあって、大口融資先であるX社への貸出残高が47億円を超え、大口信用供与規制の限度額約30億円を大きく上回っていた。

早急に貸出残高を減らす必要があったが、それによってX社の経営状況が悪化し債務者区分が引き下げられると多額の貸倒引当金を計上することになる。当時、組合では40億円超の損失が出ると、自己資本比率が国内基準の4%を割るおそれがあった。

迂回融資回収のために別の不正融資

そこで組合は、表面上の貸出残高を減らす一方、ペーパーカンパニー(PC)への融資を通じたX社への迂回融資を決定する。迂回融資は2004年3月から2012年6月にかけて54回実施され、総額は18億円に及んだ。

迂回融資の回収に当たっても、別の不正融資を返済原資にしていた。組合は、個人名義の口座を本人に無断で開設し、当該個人への融資を装ってX社に融資する「無断借名融資」も大規模に実施しており、この資金が迂回融資の返済原資になっていた。

無断で開設された口座は約260件に上り、名義人には組合の役職員とその親族・知人、さらには一般の顧客も含まれていた。しかも外部監査による発覚を逃れるため、1件当たりの不正融資を監査対象外の5000万円以下に設定していた。

2009年4月ごろからは、既存融資の毎月返済額1700万円にX社グループ企業の経費を加算した2000万円弱の無断借名融資が毎月のように行われた。

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