前回も触れたように、東京市場全体の需給は悪くありません。裁定取引に伴う現物株の買い残は1兆8000億円程度まで減少しています。ここから減少する(売りが増加する)よりも、順番からはむしろ残高が積み上がる(買いが増加する)方向ではないかと考えられます。
市場全体が極端に買いに偏ってない状況にある中、売りが売りを呼ぶ展開は想定しづらく、材料出尽くしによる先物買いでまず反応し、それが裁定取引による現物買いにつながるパターンが理想的です。決算時期にあるロングショート系のヘッジファンドなどは動きづらいでしょうけど、CTA(商品投資顧問業者)やマクロ系ファンドなどが一斉に動きだせば、日経平均株価で1000円程度は簡単に動くはずです。
しかし、13日の下げは少し厳しいものがあります。というのも、5月31日の高値(1万7251円)は4月25日高値(1万7613円)から360円程度切り下げた水準でした。6日安値(1万6322円)は5月2日安値(1万5975円)から350円程度切り上げた水準でした。つまり、4月25日高値から5月31日高値を通る右肩下がりの上値抵抗ラインと、5月2日安値から6日安値を通る右肩上がりの下値支持ラインとで、綺麗な三角保ち合いをイメージしてきました。
1万6000円が心理的なフシに
三角保ち合いは売り方と買い方の力が拮抗していることを意味する値動きで、それを上か下かに突破すると、突破した方向にトレンドが伸びていくことがよくあります。13日の下げで下値支持ラインを下回ってしまったのです。それでも1万6000円の心理的フシ前後を日経平均株価が維持できれば、大きく崩れた見方にはなりませんが、明確に下回ると、1万5100円~1万5200円まで下げる可能性大です。
最後に、ダウ平均を少し違った角度からみていきたいと思います。本来、逆相関の関係にあるドルと原油は、最近まで強い順相関となっていました。相関とは1に近いときは2つの変数が順相関(同じ方向に動く)、-1に近ければ逆相関(逆の方向に動く)を意味します。ドルと原油それぞれの市場の需給要因や循環要因などもあって、過去にも強い順相関になることはありましたが、長続きはしなかった。
2014年夏場以降、モミ合いが続くダウ平均と、ドル・原油の相関係数を週次ベース(5週平均)で比べると面白いパターンが見出せます。ドル・原油の順相関がピークアウトして逆相関になるタイミングあたりで、ダウ平均は転換点を迎えることがわかります。その転換点では下げたときもありましたが、どちらかというと強い上昇局面に入っていったケースの方が多い。
先週末の10日時点での相関は0.18の順相関。5月27日時点の0.81(最近の1に近いピーク)から6日の0.55でピークアウトを確認し、さらに低下しました。
ここから逆相関に入っていく過程でダウ平均に大きな変化が見られるでしょうか。史上最高値に近づいた水準から上げに勢いが付くのか、下げに転じるのか。6月後半のイベント通過、あるいはその手前で大きく変わるかもしれません。
さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。
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