国民投票は、英国に巨大な亀裂を生み出した スコットランドは62%がEU残留支持だった
イギリスのEU(欧州連合)離脱是非を問う国民投票の結果は、「EU離脱」の勝利に終わった。この事態を受け、6月24日のロンドン中心部に数百人の移民賛成派がロンドン中心部に抗議のために結集した。ここでのメッセージは移民問題が中心。離脱派は、イギリスに流入する移民の数を減らすために、イギリスはEUを脱退しなければならないと主張していたためだ。
反EU感情だけでなく反移民感情によっても煽られた離脱派の勝利はイギリスの与党保守党に痛手を与えた。デビッド・キャメロン首相はこれに失望して辞任を表明したが、中東アフリカ地域の戦争と貧困を逃れようとする移民の大量流入への対処に苦闘しているEUに与えた痛手も、また大きい。
今回の国民投票においてキャンペーンの中心となったのは、EU域内における移動の自由の原理に挑戦し、厳格な移民規制を要求するイギリスの小政党イギリス独立党 (UKIP) だった。同党はキャメロン率いる保守党にとって選挙における脅威となり、キャメロン首相にEU問題での残留/離脱国民投票の約束をさせる動因となった。
冒頭映像の抗議集会はメディア王として知られるルパート・マードック氏が率いるニューズ・コーポレーションのイギリス事業本部の建物前で行われた。ニューズが発行する新聞「ザ・サン」と「ザ・タイムズ」が離脱派を支持していたためだ(同じニューズの「サンデー・タイムズ」は残留を支持していた)。
スコットランドでは62%が残留に賛成だった
一方で、この選挙の結果は、英国を明確に分裂させる契機になるかもしれない。
スコットランドの首都エディンバラでは、数百人がEUからの離脱決定に抗議するために集まった。彼らはスコットランドとEUの旗を振っていた。
人々は、「国民投票はスコットランドの選択肢を表していない」と主張する。エディンバラ・ホリールードにある議会の建物の外に集まった人々はそう主張した。
確かに、スコットランド人の考え方は違っていた。52%対48%というのが英国の国民投票結果であったが、スコットランドだけに限れば62%がEU残留に賛成。反対票は38 %であり、EU残留が圧勝だった。
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