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欧州問題は英国政治にとって死神だ。政党を分裂させ、政府を弱体化させ、政治家のキャリアを崩壊させる。しかしこの問題を取り巻く情勢がこれほど厳しかったことはいまだかつてない。
早ければ6月にも英国が欧州連合(EU)に残留すべきかを問う住民投票を実施するとのキャメロン首相の決定は、自身の政権を崩壊させ、保守党を破壊させ、文字通り国を分裂させてしまう可能性がある。
キャメロン首相は有権者にEU残留を選んでもらうべく、加盟条件に関してあらゆる交渉を行っている。しかし住民投票の行方が予測できないことはよく知られている。また、欧州大陸で吹き荒れたポピュリズムの波が英国に上陸しないとも限らない。
EU離脱が決まれば英国分裂も
EU離脱の決定がなされると、英国経済には大づちで打たれたような影響があり、国際的な存在感は大いに低下するだろう。さらに悪いことに、この事態は英国の分裂をももたらす可能性がある。
スコットランド民族党(SNP)は英国の有権者がEU離脱を選んだ場合、スコットランド独立を問う2回目の住民投票を行うよう圧力をかけている。SNPのリーダーによれば、仮にイングランド、ウェールズ、北アイルランドが離脱しても、独立を果たしたスコットランドはEUに残留するという。
このような事態に陥れば、国土分裂をもたらしたキャメロン氏は英国史上最悪の首相になってしまうだろう。このレッテルは、(第二次大戦前に)ドイツのヒトラーへの宥和政策を取った当時のチェンバレン首相と関連づけられることが多い。
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