EU離脱で日本企業は英国から脱出するのか 日立、日産、野村などが抱えるそれぞれの事情

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とはいえ、ほかの日系メーカーの目から見ると、グローバルでの生産台数のうち英国が占める割合は、トヨタ、ホンダとも2%程度にすぎず、離脱による影響は軽微。一方、日産の場合は約1割と軽視できない水準であり、対策を練る必要がある。アライアンスを組む仏ルノーの工場の稼働率が低いため、状況次第では、フランスへ生産をシフトしていくことも考えられるだろう。

こうした状況で気になるのは今後の英国政府の姿勢だ。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは、「英国は自動車産業を守るために一層の産業保護政策を取る可能性もある。自動車メーカーが生産拠点を動かすにも時間がかかる。カルロス・ゴーン会長兼社長が政府と交渉してどういう条件を引き出せるかが、今後の日系自動車メーカー全体の英国での生産活動の方針を決めるカギになりそうだ」と指摘する。

金融街シティに打撃

金融立国である英国はロンドン中心部に金融街シティがあり、日本の金融機関も多数進出している。英国に拠点を構える金融機関はこれまで、英当局の認可を受けることでEU諸国にも事業展開できる「パスポート制度」を活用してきた。だが、EU離脱によってこうした恩恵を維持できるか、不透明な情勢だ。

欧州は2008年のリーマンショック以降も、ギリシャなどの債務危機に襲われたほか、規制強化も進められ、金融業務には逆風が吹いていた。野村ホールディングスは、今年4月、欧州で現地株式の引き受け業務と企業調査、株式関連商品取引から撤退。EU離脱でさらに事業環境が悪化することも懸念されている。

医薬品の開発でも、ロンドンの欧州医薬品庁で承認を得れば、EU全体で承認を得たことになる。そのため、武田薬品工業はロンドンに欧州全体の治験の統括部署を置いているが、制度変更があれば、こちらも戦略の練り直しを迫られそうだ。

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